これを読めば安心 スノーボードの選び方基礎:板

本文上広告




Pocket
LINEで送る

雪の積もらない地域に住んでいる人などでは、スノーボードを始める際にまずレンタルで借りてやってみるということも多い。しかし、レンタル品は通常販売しているモデルよりも扱いづらく、特に初心者にとってはデメリットが大きいという点もある。

ここでは、スノーボードの板に関して構造の種類から選び方の基礎までを紹介する。

1.プレースタイルを考える

一口にスノーボードと言っても、いろいろなプレースタイルがある。板に関しても、それぞれのプレースタイルに向いている板というものが各メーカーから発売されている。
まず、考えたいのは自分がどのようなプレースタイルが好きなのか、目指したいのかという点。プレースタイル別の板の特徴を大別すると以下のようになる。

1-1.フリースタイル用(オールラウンド用)

最初に書くと説明しづらいのだが、何かの要素に特化しているというわけではなく、ある程度どのようなプレースタイルにも対応できるというタイプ。よく言えばオールラウンド、悪く言うと中途半端な板。
これを始めに書いたのは、このオールラウンドタイプが販売されているスノーボードの大半を占めるからだ。

初心者で、自分の目指すスタイルが決まっていないという人はこのタイプをおすすめする。

また、キッカー(ジャンプ台)でバンバン飛びたい人やハーフパイプをやりたい人などもここではフリースタイルに分類する。

1-2.ジブ・グラトリ用

ジブというのはボックスやレールなどのアイテムで技を繰り出して楽しむこと。グラトリはグランドトリックの略でキッカーではない普通の斜面でスピン系、プレス系といった技を行う楽しみ方のこと。

ジブやグラトリをメインで楽しみたいという場合は板は比較的やわらかいもの、長さは短めになってくる。形状も独特のものがある。
やわらかめの板は扱いやすいので、初心者にもおすすめできるジブ・グラトリ用板もあるが、プレースタイルによってはクセが強いものも多い(例えばフラフラして安定しないものなど)。

1-3.バックカントリー用

バックカントリーというのは木が生えている林の中など圧雪整備されていない山の中を滑るスタイル。たまにゲレンデでコース外を滑っている人がいるが基本的にコース外滑走は禁止なので注意。バックカントリーを楽しみたい人はバックカントリツアーや上級者限定でバックカントリーコースを用意しているスキー場というのがある(北海道のトマムなど)のでそちらを利用しよう。

バックカントリーでは非常に状態の良いパウダースノーを楽しめることもあり、滑った感じもあまりエッジが効かずサーフィンに近くなる。そのためか板の形状もサーフィンに近いものが出ていたりする。

こうしたバックカントリー用はあまり一般的ではなく、特殊性の強い板なので1本目としては避けるべきである。

1-4.カービング用(フリーライド用)

キレのあるターンをしてスピードのある滑りを追い求めたいという人はカービングがしやすい板を選ぶこととなる。この場合、高速滑走での安定性が必要になるため、板は比較的細くて長いもの、硬いものとなっていく。

更にカービング専門で滑るという人はアルペン競技用のボードというものもある。
これは、通常の板とは形状、硬さが段違いのものとなり、ビンディング、ブーツも専用のものになるためこちらも最初の1本目としては避けるべきである。


アルペン競技用のボードとブーツ

2.自分に合ったボードの長さ

昔は自分に合ったボードの長さは身長-15cmだと言われていたが、現在の基本は身長ごとに以下のように分かれる。

175cm以上の人 身長 – 20cm
160~175cmの人 身長 – 15cm
160cm以下の人 身長 – 10cm

ただし、これはあくまで基本で、当てはまらなければ滑りづらいかというと、そうとも限らない。ジブをやる人はより扱いやすくて軽い板のほうがいいという思いから、あえて短いものを選ぶ場合もあるし、高速滑走重視という場合は安定する長めの板を選ぶこともある。

また、メーカーによっては各モデルの各長さごとに推奨とする身長の範囲を出している場合もある。一概に板の長さと言っても、有効エッジの範囲やノーズ、テールの反り上がり度合いによって選ぶべき身長の範囲が異なってきたりするためである。

3.ボード形状の違い

3-1.ボードを真横から見たとき

長さよりも遥かに重要な要素がボードの形状。特にボードを真横から見たときの形状はいろいろあるが、滑り心地にかなり影響する要素なので、しっかりと選びたい。

3-1-1.キャンバーボード

スノーボードの一番基本的で昔からある形状。真横から見た際に、中心が少し浮き上がっており、外側2点が地面と接する。

この形状は安定感があり、外側2点のエッジを使ってターンするのでカービングターンもしやすい。また、板をしならせた時の反発が強いため、グラトリでもジャンプ系(オーリー系)のトリックをする際には高さを出せる。
特に高速滑走する場合や、キッカーでジャンプするユーザー、グラトリで高いジャンプを出したいユーザーはキャンバーのメリットが大きい。

その反面、他の形状に比べるとエッジがかかりやすいため逆エッジにもなりやすい。

初心者でも、スノーボードの基本となるきれいなターンからしっかり学びたいという人は、クセのないキャンバーボードをおすすめする。

3-1-2.ロッカーボード

ジブやグラトリなどのトリックをするという楽しみ方が普及するにつれて、従来のキャンバーボードが持っている安定感をあえてなくして、よりフリーに扱えるロッカーボードというのが発売された。この板は横から見た際に板の中心が地面と接するような構造をしている。

実際に乗ってみると、真ん中を中心としてクルクル回るような動きをしがちな乗り心地になる。一番代表的なメリットは、グラトリでプレス系の技をやる際にスタイルを出しやすく、操作も楽という点。

一方で、両サイドが浮いているため、安定したカービングターンというのが難しい(フラフラしてしまう)。また、板の反発も弱いためオーリーでの高さはあまり出ない。

始めてボードに乗るような初心者は、板の方向転換ができないことも多いが、ロッカーボードだとクルクル回りやすいためやりやすいかもしれない。
ただし、安定したカービングターンを習得したいという人はなかなか大変なので、あまりおすすめしない。

3-1-3.ダブルキャンバーボード

ロッカーボードが出現した後に、ロッカーボードの不安定感とキャンバーボードの持つ反発力を両立させられないかという観点で、ダブルキャンバーという構造のものが出てきた。ダブルロッカーと言われることもあり、メーカーによって呼び方は多少異なったりする。

よくキャンバーボードとロッカーボードの良いとこ取りと表現されるが、誤解の無いように説明すると、基本的には真ん中の1点で地面と接するため乗り心地はロッカーボードに近い。ターンをする際の安定感はロッカーボードとそこまで変わらないので注意。
ただし、オーリーするときの反発力はロッカーボードよりも強い。

良いとこ取りというと悪いところが無いように聞こえてしまうが、安定感、ターン性能ではキャンバーのほうが上、ジブ・グラトリでのプレススタイルや自由な操作性という意味ではロッカーボードのほうが上となり、その中間と考えたほうがいい。

3-1-4.フラットボード

フラットボードはノーズとテール以外の部分全体が地面と接している構造の板。こちらもキャンバーとロッカーの中間的な性質を持っている。ダブルキャンバーと比較すると、フラットボードのほうが安定感がある。

フラットボードのメリットはエッジの切り替え動作がキャンバーよりも楽にできるという点。ただし、キャンバーになれていると逆にエッジがかかりすぎてしまうということもあり、なかなかクセの強い板。

あまりメジャーな形状ではなく、フラットボードを使うという人はフラットボードに対して独特のこだわりを持っている人が大半となるため、1本目としては避けることをおすすめする。

現在はこのほかにも各メーカーがいろんな形状の板を発売している(例えばキャンバー構造を基本として接地部分のみフラットとなっているフラットキャンバーなど)。あげるとキリがないので、基本的な4構造を紹介したが、横から見た際の形状の違いは滑り心地にかなり影響する部分なので、頭に入れておきたい。

3-2.ボードを真上から見たとき

3-2-1.幅による違い

ボードの長さはある程度身長で決まってくるため、ボードを真上から見た時にはまずは幅によって違いが出る。

厳密にはウエスト幅とノーズ、テール部分のサイドカーブの形状によって滑り心地が変わってくるのだが、いろいろな組み合わせが出てしまうので、とりあえずウエスト幅についてだけ考えよう。

ウエスト幅が太くなると全体的な安定感が増す。ジブやグラトリ用の板は太いものが多い。

逆にウエスト幅が細くなった場合、ターンのキレ味が増す。高速滑走をしたい人は細めを選ぶといい。

幅に関しては極端に太かったり細かったりした場合はクセが出てきてしまい、滑りづらかったりする。初心者は、太すぎず細すぎずという中間を選んだ方がいいだろう。
また、ブーツのサイズや取り付け角度によっては、細い板の場合つま先が大きく板からはみ出てしまうこともある。10cm程度なら問題ないが、あまり極端に飛び出しているとトゥサイドのターンの際に、つま先が雪面に当たってしまうので注意が必要。購入するときはショップの店員と確認した方がいい。

3-2-2.ノーズ、テール長さによる違い

ツインチップ構造

ノーズとテールの長さが均等になっている板をツインチップ構造という。ノーズ方向にもテール方向にも滑りやすく、グラトリ用の板などに多い構造。

ディレクショナルツイン構造

テールよりもノーズの方が長くなっている構造。この場合高速滑走時にノーズ向きだと安定する。
ディレクショナルといった場合はバックロード用の板のようにノーズとテールのサイドカーブ形状が異なる板をいう。ディレクショナルツインの場合はテール向きでも滑ることが可能で、安定性が変わってくるタイプをいう。

4.ボードのやわらかさ

ボードのやわらかさも重要な要素である。
やわらかさには2種類ある。ひとつはボードの長さ方向に対するやわらかさでフレックスという。フレックスがやわらかいものは、扱いやすいが高速滑走時に板がバタついてしまい安定しない。また、グラトリなどでプレス系の技はやりやすくなるが、オーリーでの高さは出なくなる(オーリーは硬すぎてもやりにくい)。

お店に行って手で板をしならせてみるとそれぞれやわらかさの違いが感じられたりする。よくわからない場合はお店の人に聞こう。

もうひとつは板のねじれ方向に対するやわらかさ。これをトーションという。通常はフレックスがやわらかいものはトーションもやわらかくなる。ターンをするときに板は多少ねじれの動作を必要とする。トーションがやわらかいとこのねじれ動作が容易になり、板の扱いやすさが上がる。ただし、こちらも高速滑走時には硬めのほうが安定感が増す。

昔はスノーボードにしてもスキーにしても板は硬いものしかなかった。ジブやグラトリなどの楽しみ方が普及するにつれて、やわらかい板というものが出てきて、今では初心者にとっても扱いやすいことからやわらかめのほうが人気が高い。

自分のスタイルに合わせて決めるのが理想だが、迷うようであれば扱いやすいやわらかめをおすすめする。

5.スノーボードの価格帯に関して

年に20回近く行くようなヘビーユーザーにとっては価格などあまり重要な要素ではないが、一般的には予算というのも購入するうえでの大事な要素だろう。

スノーボードの価格は大きく3段階に分かれる。

・板、ビンディング、ブーツの3点で¥20,000~¥30,000台という低価格帯
・板だけで¥40,000、¥50,000程度の中価格帯
・板だけで¥80,000以上するような高価格帯

余談だが、筆者が初めてスノーボードを買った(買ってもらった)のは3点で¥24,800という低価格帯だった。当時小学生で身長が伸び盛りだったということもあり、数年のうちに合わなくなるだろうということでこの価格帯だったのだが、やはり滑りやすさも価格相応。特にターンの時にエッジがあまり効かず曲がりにくかったのを覚えている。
レンタルよりは良いものだが、長く使いたいという人は他のほうをおすすめする。
中価格帯のものは高校の時に買換えとして購入した。板とビンディング合わせて¥60,000程度だったと思う。それまでの低価格帯とはターンのキレ味が全然違った。少し加重点をずらすだけで「勝手に曲がってくれる!」と感動したのが第一印象。SALOMONのDRAFTというモデル(今はもう販売されていない)だったが、デザインも豪華になり自慢の1本だった。
その後、上達するにつれて、もっとこうした滑りがしたいという思いが強くなり高価格帯の板を購入するようになった。

初心者に一番おすすめしたいのは中価格帯の板。平均的にみると扱いやすいものが多い。
お金があれば、価格が高いもののほうがいいのではないかと思われるかもしれないが、そんなことはない。高価格帯の板は冒頭で説明したどれかのスタイルに特化していることが多く、「もっとこうした滑りがしたいから、こんな板がほしい」というユーザーを対象としている。そうした板はオールマイティに滑りたい人にとってはクセが強く滑りにくいということも多い。

また、高価格帯の板はしっかりとしたメンテナンスがされる前提でつくられているため、手入れを怠るとすぐに痛んできてしまう。
こうした面から、初めて購入する人はむしろ中価格帯のほうが

6.レンタル品とマイボードの違い

ここまで説明したうえで、レンタル品とマイボードの違いを簡単に説明する。

スノーボード用品はそろえると結構な金額がかかるため、1年に1,2回しか行かないという人にとってはレンタルは便利な選択肢となる。
しかし、レンタル用としてスキー場に置いてある板は通常ショップで売っている板と少し異なる。レンタルボードはマイボードと違い、毎日のように使用される。通常、板の寿命は50日ゲレンデに滑りに行く程度と言われる。1年に5回行く人であれば10年程度(ちゃんと手入れしていた場合)。

レンタルは毎日のように使用されるため、通常の板と同じ強度でつくられた場合はヘタすると1年もたない可能性もある。そのため、レンタル用は通常の板より強度が高くなっている。つまり、硬くて重たくなっている。レンタルを利用する初心者にとって、これらの要素は扱いづらさにつながるのでデメリットでしかない。

スキー場によってはブランドレンタルという名称でBurtonやSALOMONの板を取り扱っているところもあるが、それらもやはりショップで販売されているものとは違う仕様だったりする。
スノーボードは安い買い物ではないが、扱いやすさや疲れやすさも変わってくるため、可能ならぜひマイボードの購入を検討してほしい。

Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする