2大ビンディングブランドUNIONとFLUXの違い

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スノーボードの人気ビンディングブランドは総合メーカーで取り付けも特殊なBurtonを除くとUNIONとFLUXという2つのブランドに集約されていると言ってもいい。よく、ユーザーは「UNIONとFLUXの違いは何か?」や「UNIONとFLUXどちらが良いのか?」と聞くので、そのあたりの話をまとめておこうと思う。

UNIONビンディングに関してはこちら

FLUXビンディングに関してはこちら

1.ブランド概要

1‐1.UNIONブランド概要

「ライダーとボードを一体化させるパーフェクトなビンディング」をコンセプトにスタートしたブランド。そのコンセプト通り、ボードのフレックスを自然にライダーに伝えられるビンディングをハイエンド、ローエンド問わず展開している。

ブランドの発足は2005年。発足以来ビンディング一筋という徹底したこだわりでワールドワイドに製品を販売する。アメリカ発、現在はイタリアに本社を置くブランドであるが、日本市場に対してもかなり真剣に取り組んでいる印象がある。また、純ビンディングブランドとしては珍しく、自社工場を持っており開発から設計、製造まで自社で行っている。

1‐2.FLUXブランド概要

一方FLUXは1992年に誕生した日本のブランド。発足だけ見るとUNIONよりも10年以上歴史が長い。「日本人の足に合う最高のビンディングを」というコンセプトで発展を続け、日本人を納得させるものづくりを追求した結果、世界最高水準の品質のビンディングを販売できるようになった。日本国内外を問わず多くのライダーからのフィードバックを取り入れ、年々着実に進歩している。

日本ではもちろん人気のブランドであるが、現在では世界21か国で販売しており、現在は新たにブーツのラインナップが加わっている。非常に勢いがあり、創業25年を迎えてもなお今後の発展が楽しみなブランドである。

2.技術面に関して

ブランドを選ぶ際に最も重要なテクノロジー面に関して考える時に、まず比較したいのは両社が最もハイエンドで高価なフラグシップとして出しているモデル。これは、ビンディングにおいてはフリーライド向けのハードフレックスかつ軽量というタイプになる。

もう一つ、パークやジブ、グラトリ向けのソフトフレックスモデルに関しても特徴を見ていきたい。

2‐1.UNIONの技術

UNIONの技術面はとにかく素材開発に対して積極的な印象を受ける。

現在、UNIONのフラグシップモデルはATLAS FC。 このモデルには、現在UNIONが新素材として猛アピールしているFC(Forged Carbon:フォージド カーボン)が使用されている。このFC素材は世界屈指のスーパーカーブランド、ランボルギーニのラボで共同開発された結果生まれた新素材で、最軽量かつ強靭な硬さを持つ。従来のカーボンファイバーは一定方向にしか剛性を発揮しなかったが、FCでは様々な方向からのインパクトに耐えることができ、複雑な3D形状に使用することも可能である。

ATLAS FCはハイバックにこのFC素材が使用されており、ベースプレートもカーボンファイバーを織り込んだもの。業界最軽量かつ、高剛性のフリーライドモデルになっている。

フリースタイルの代表モデルはSTRATAというもの。

UNIONはコンセプトの中に「ボードの持つ自然なフレックスを最大限に引き出すビンディング」という思いがある。その結果たどり着いた答えが、ディスクプレートとボードの接触点を極力少なくするという工夫。ディスクをMini Diskにすることで、柔らかな乗り心地を実現している。

また、ソフトフレックスモデルでも素材はアピールしている。デュラフレックスという柔軟性の高い樹脂をナイロンに配合することによって、やわらかさと強度を合わせ持ったビンディングを実現している。

カーボン、樹脂以外に金属素材に関してもアピールしており、フラグシップのULTRA FCを除いてほとんどのモデルはヒールカップに押し出し成型のアルミが使用されている。ラチェットにはアルミよりも軽量なマグネシウムが使用されているモデルもある。

このように、UNIONの技術面は開発に予算のかかる素材技術にこだわりを持っている印象である。

2‐2.FLUXの技術

一方FLUXはどうなのかというとUNIONほど素材に関してはアピールしていない。FLUXのフラグシップモデルはXV。

ハイバックとベースプレートにカーボンを配合したナイロン素材が使用されており、軽量化が図られている。ナイロンは国産のものなので不純物が少なく品質が良いだろう。

素材だけ見るとUNIONの方が優れている印象を受けるが、FLUXの特徴ともいえる工夫は他にある。一つは工具がなくても各調整ができる点。スキー場で滑りながら細かい調整をすることができる。

また、ハイバックの調整機構は通常ハイバック背面についているつまみで行うのだが、FLUXのビンディングではMicro Adjusterと呼ぶ工夫があり、ハイバックとヒールカップの接続部分にあるメモリを動かすことでも調整できる。

さらに一部のモデルはWaffle Strapという形状のアンクルストラップとなっており、ホールド性能も高い。FLUXのストラップは数年前には革のタイプが使用されていたが、近年ハニカム構造を持つ軽量なもの、そして現在はWaffle Strapというように数年の間にかなり進化している。

ソフトなフレックスで人気のモデルはDS。

素材面ではナイロンベースで際立った特徴はないが、ハイバックの形状とスリットにより、特定方向に対しての柔軟性を出している。ベースはミディアムフレックスで、安定性とフリースタイルに必要な柔軟性を両立しているモデルである。

ちなみに、このDSというモデルは以前、ハイバックに大きなスリットが3本入った形状であった。現在、DSLという名前に変更されて残っているが、こちらも当時から定番モデルといわれるほど人気であった。

3.デザインに関して

見た目のデザインも選択する際のひとつの要素となるが、両者の違いを少し見てみよう。

まず、一番目立つともいえるハイバックだが、FLUXにはDSに代表されるように角度調整用のつまみが無いモデルがある。これはハイバック付け根にあるMicro Adjusterによってある程度の角度調整が可能なため省略できているのだが、デザイン面での影響は大きい。つまみが無くなると丸みがありスタイリッシュな印象になる。また、性能面でもつまみ部分は剛性が高くなるため、省略できるとソフトなフレックスとなる。UNIONは大小の違いはあるがすべてのモデルにこのつまみがある。

↓DSLのハイバック

次にヒールカップの形状に着目すると、UNIONはFLUXよりもシンプルで直線的、角ばっている印象がある。それに対してFLUXのヒールカップは曲線に数個のホールが組み合わさった複雑な形状をしている。好みはユーザーによるだろうが、成型の難易度としてはFLUXのほうが高いだろう。

↓UNIONヒールカップ

↓FLUXヒールカップ

4.UNIONとFLUXどちらが良いか

UNIONとFLUXの違いを記載したが、結局どちらが良いのかというと、もちろんユーザーが何を重要視するかによって異なってくる。

両社の特徴を簡単にまとめると、UNIONはとにかく素材へのこだわり。カーボン技術、ナイロン系樹脂、金属素材に至るまで徹底的にこだわっている。素材技術力の高さがユーザー視点でどこに表れるかというと「軽さ」。同じ強度の製品をより軽い素材で実現できるということになる。

一方FLUXの特徴は、各種調整機構、ストラップのホールド性能、フットベッドなどに出ている。ブーツとビンディングの一体化という点においてはFLUXのほうがこだわっている印象がある。

つまり、極限まで軽量化を求めるユーザーは、UNIONのほうがメリットが高い傾向にある。一方でブーツとのホールド感を重要視したい場合には、FLUXの方が優れている。ただし、これはあくまでブランドとしての傾向なので、比較するモデルによっては当てはまらない場合もある。UNIONのハイエンドモデルとFLUXのローエンドモデルを比べても、ハイエンドの方が優れているのは当然である。

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コメント

  1. Stupid より:

    UNIONはアメリカじゃなくてイタリアでは?

    • コメントありがとうございます。
      UNIONは発足自体はアメリカのシアトルですが、確かに現在は本社および主幹工場をイタリアのColicoに置いています。
      対象部分の記載を、分かりやすい適切な形へ修正させていただきました。
      今後ともよろしくお願いいたします。