これを読めば安心 スノーボードの選び方基礎:ウェア

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ウェアは個性を出すために一番わかりやすく重要な要素となる。スノーボードのギアは高くて買わないが、ウェアだけは自分のものを買うというユーザーも多い。また、誰が着たかわからないレンタル品を使用したくないという声も多い。

ウェア選びはデザインのみで決めるのもありだと思うが、事前に知っておくといいポイントを紹介する。

1.スノーボードウェアのサイズ感に関して

スノーボードは膝を曲げたり腕や腰を動かしたりするためウェアも少し大きめにつくられている。普段着ている服のサイズと同じ感覚で購入すると思ったサイズと違う場合があるので、ネットの場合必ずサイズ表記を確認すること。店舗で購入する場合は試着してみること。

基本大きめにつくられているのだが、一昔前までは明らかに大きいダボッとした着こなしがオシャレなスタイルとされていた。今でもこのスタイルは人気があるのだが、近年はブーツカットやスキニー形状のパンツを使用したスタイリッシュなスタイルも人気となっている。特にレディースウェアではこちらの方が多数派になっている。


ダボッとした大きめスタイル


スタイリッシュな細めスタイル

どちらの方向性で行くのかは好みに合わせて決めればよいが、注意しておきたいのはプロテクターを使用する場合。初心者がスノーボードを始める場合、何十回と転倒するため、ウェアの中に履くヒッププロテクターがあるとかなり役立つのだが、スタイリッシュなウェアを着ている場合は入らないケースがある。理想は好みの厚さのプロテクターを用意した上で、それに合わせてウェアを選べるとよいのだが、なかなかそうできるようなケースばかりではないと思うので、お尻まわり、膝まわりに多少ゆとりのあるものを選ぼう。

ちなみに、大規模キッカーを跳ぶような上級者にとってもプロテクターは重要なアイテムとなる。上達するにつれてスピードや高さが上がってくためケガのリスクは高くなる。この場合、下半身だけではなく上半身のプロテクターもほしくなってくるため、ひとつのウェアをながーく使いたい人はジャケット側も気にしておくとよいだろう。

2.耐水圧と透湿性に関して

2-1.耐水圧の値に関して

ウェアの機能の指標に耐水圧と透湿性がある。
耐水圧は想像できると思うが、外からの水をどれだけカットするかというもの。透湿性は逆に、汗などによって出たウェア内側の蒸気をどれだけ外へ逃がせるかというもの。どちらも値が大きいほど性能が良いことになる。

耐水圧の数値は○○mmという値で示され、JISで規格化されている。生地の1cm四方の範囲に柱を立て、どれだけの高さまで水を入れても浸透しないのかという値になる。例えば耐水圧10000mmのウェアの場合、10mまで入れても大丈夫なわけだ。最近のスノーボードウェアの場合、耐水圧は5000mm以上あるものが多く、中には30000mmを超えるものもある。

値だけ見ても良くわからないだろうが、筆者の経験上スノーボードをする際、耐水圧10000mmのものでもお尻をついていると徐々に染みてくる。ただし、1日中滑っても下着まではっきりと濡れてしまうようなレベルにはならない。個人の体重によっても異なってくるが、濡れるのが嫌な場合耐水圧は30000mm以上のものを選ぶと良いだろう。

2-2.透湿性の値に関して

透湿性の値は○○g(正確にはg/㎡/24h)という値で、1㎡の生地あたり、24時間で何gの水分を透過するかを示す。
実際のウェアでの表示値は5000gのものや10000g以上のものなどもある。一般的に激しいランニング運動を1時間つづけた際の発汗量は1000g程度。24時間あたりにすると24000gになる。スノーボードは休憩も挟むし、外気温も低いためこれよりも低くなると考えてよい。

実際には一般的に5000gあれば十分とも言われるが、発汗量は個人差が非常に大きいため、自分が汗をかきやすい体質だと思う場合はそれよりも大きい値のウェアを選んだほうが良いだろう。

2-3.ゴアテックス素材

高価格帯のウェアではゴアテックス(GORE-TEX®)という素材が使用されている。スノーボードウェア以外でも、登山グッズ、レインウェアなどアウトドア製品全般で使用されているものなので、知っている人も多いと思う。

どのブランドもゴアテックスと表記された製品があり、対象製品には上図のようなタグがついているのだが、もともとゴアテックスというのはアメリカのW.L. Gore & Associates社(ゴア社)の登録商標。ゴア社はゴアテックス技術を開発し各メーカーへ技術を提供している。それに基づいてつくられた製品は世界中にあるゴア社の事業所でテストされ、ゴアテックスの性能基準を満たしていればゴアテックス製品として販売する許可がもらえる。つまり、他社の製品の耐水圧や透湿性などの性能をゴア社が保証してくれているわけだ。

技術的にみると、ゴアテックスというのはゴアテックスメンブレインという生地が要となっている。これは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)という材質でつくられ、1cm四方の範囲に14億個以上の孔(あな)を持つ。厚みも0.01mmしかないため生地というよりは膜といったほうがいい。この孔は、水滴の2万分の1のサイズで外部からの水は通さない。しかし、水蒸気分子の700倍の大きさのため内部の蒸れは解消されるという仕組みである。

このメンブレインにラミネート加工によって表地と裏地(ない場合もある)を張り付けたものがゴアテックスの生地である。

また、ゴアテックスでは生地の継ぎ目の部分処理も要求される。継ぎ目部分は何もしないと外部からの浸水を許してしまうが、ゴアテックスでは専用のテープ処理によって防げるようになっている。

ゴアテックスのタグがついているウェアの多くは耐水圧45000mm以上、浸透性10000g以上が一般的だが、価格も上下それぞれ¥10000~¥20000程度は高くなる。ゴアテックス以外でもこのスペックの製品はあるが、購入する際に知っておきたいのは2点。

ひとつはゴアテックスでは生地の継ぎ目の処理までされているという点。どれだけ耐水圧が高い生地でも継ぎ目が未処理ならそこから浸水してしまう。ゴアテックス以外の製品で継ぎ目に関しての記載がない場合は、結果的に耐水性能が低い場合もあるので注意。

もうひとつは、ゴアテックスではゴア社という第3者が性能を保証しているという点。これによって、各メーカーが虚偽の値を記載している可能性や違う試験方法によって値が変わってきている可能性が無くなっている。高くても、確実に性能が保障されている製品という目線でゴアテックス購入を考えてもらいたい。

3.スノーボードウェアの種類

3-1.レイヤリングタイプ

スノーボードウェアの中で最も一般的なタイプがレイヤリング(重ね着)と呼ばれるタイプになる。
このタイプは重ね着するという前提でつくられており、他のタイプに比べると保温性はそれほど高くない。そのかわり耐水性と透湿性が高くなっているものが多い。

スノーボードは意外とハードな運動で、やっていると暑くなることも多いため、インナーに何を着るかで温度調節できるのはレイヤリングタイプの大きなメリットでもある。

3-2.ダウンタイプ

ダウンのメリットは保温性。非常に保温性が高く寒い日でも安心となる。
ただし、日本のゲレンデの場合はダウンが必要なほど寒くなるような場所は少なく、むしろ暑すぎる場合も多いため、温度調節が容易なレイヤリングタイプが主流。

現在はどちらかといえば、保温性よりもそのデザイン性で購入する場合が多い印象。他人とは一味違ったウェアがほしい場合、または普段街で来ているのに近いファッションでスノーボードをしたい場合などダウンタイプを買うのもいいかもしれない。

3-3.中綿タイプ

機能的にはレイヤリングとダウンの中間のようなものが中綿タイプ。レイヤリングの素材をベースに中に綿を入れて保温性を高めているものだが、透湿面ではやはりレイヤリングのほうが上となる。見た目は、レイヤリングに近いのだが、若干モコモコしている。

ちなみに、読みは「なかわた」。
本来、中綿は中の素材に綿を使用しているもので、ダウンは羽毛を使用しているものだったのだが、スノーボードウェアの場合、デザイン的な違いで区別される。見た目がダウンタイプなら、中の素材が羽毛だろうと綿だろうと化学素材だろうとダウンタイプと呼ばれ、逆に見た目が中綿なら中綿タイプと呼ばれている。スキーウェアでは、まだモデルがあるがスノーボードウェアでは中綿タイプは減っており、中綿タイプでもレイヤリングと区別しないこともある。

3-4.つなぎタイプ

種類は少ないのだがつなぎタイプのウェアもある。つなぎタイプはジャケットとパンツの間から雪が入らず、レイヤリングと比べて保温性も高い。ただし、暑すぎた際の温度調整がしにくかったり、トイレの際不便だったりといったデメリットもある。

上級者でたまに着用している人がいたりするが、個人的にはつなぎタイプの一番のポイントは独特のシルエットだと思う。スノーボードウェアは最近だとスタイリッシュなものも増えているが、特にメンズのジャケットになるとそれでも大きい場合も多い。日本人男性で細身の人だと、どうしても体に合う気に入ったものが見つからないケースもあるが、そうした場合につなぎタイプを試してみるとちょうどいいこともある。

4.代表的なスノーボードウェアの特徴

ウェアそれぞれには使いやすいための工夫が施されているが、ここでは通常のウェアに入っている機能やあると便利な機能を紹介する。

4-1.フード

悪天候時にあると便利なフード。ただし、デザインにかなり大きく影響する部分なのであるとイヤだというユーザーは必須ではない。また、ヘルメットを着用するユーザーはフードに入らない場合も多い。実際に悪天候時に使用する場合は、しっかりと紐やアジャスターで絞れるようになっているものが良い。

4-2.パスホルダー

リフト券を入れておけるパスホルダー。こちらも、デザインに大きく影響し、別売りのパスホルダーを使用するというほうが一般的なので必須というわけではない。
最近はリフト前で人に見せるタイプではなく、ポケットに入れたICカードの電磁気をリフト前のゲートが読み取り開くというタイプのスキー場が急増しているため、そのうち使用されなくなっていくかもしれない。

4-3.ベンチレーション

滑っていて熱くなった際にベンチレーション用のジッパーを開けることで換気ができる。一般的には、ジャケットの脇の下部分とパンツの内ももあたりについている。最近のウェアにはほとんどついているものだが、確実にあったほうが良い機能。添付の画像のものはジャケットのベンチレーションが小さいが、通常はもっと大きく開くものが多い。

4-4.パウダーガード

ジャケットとパンツの間から雪や冷気が入って来るのを防ぐために、それぞれ部分インナーのようなベロがある。パンツのパウダーガードを中に着ているインナーウェアの上からかぶせるように着け、ジャケットのパウダーガードをさらにその上から被せるように着用する。

パウダーガードはボタンやジッパーなどによって上下繋げられるようになっている場合もある。こうすることで、より確実に雪の侵入を防げるが、基本的に同メーカーのウェア同士でないと接続できないため、ウェア購入の際は同メーカーでそろえることをおすすめする。


ジャケットについている留め具をパンツのリングにくくれるようになっているもの

4-5.ハンドゲイター、ブーツゲイター

ジャケットの袖、パンツの裾部分にも雪の侵入を防ぐための工夫がある。ハンドゲイターはグローブと手の間に位置し、雪の侵入を防ぐもの。ただしこの部分に雪が入ると薄いハンドゲイターだけではどのみち冷たいので、グローブと袖自体の間をしっかり密着させる方が大事である。

一方ブーツゲイターは、ブーツの上から被せるように着用するもので、ブーツ内に内に雪の侵入を防いでくれる。たまに、ブーツ内に入れようとする人がいるが、金具が痛いので外から被せるように!
ブーツゲイターに関しては、古いウェアや安価なものでもほとんどついている機能。

4-6.ウエストアジャスター

パンツについているマジックテープで、ウエスト部分を絞ることができる。細身の人にとっては便利な機能だが、ベルト対応のパンツの場合、ベルトを締めるという手もある。

5.まとめ

スノーボードウェアを選ぶうえでの必要知識を紹介してきたが、最近のウェアは安価なものでも耐水圧、浸透性能も機能も上がってきている。高いウェアを買って、長く使用しようと思っても、数年の内に技術が進み、同性能を安く実現できる可能性も高い。性能面での違いも紹介したが、お気に入りのウェアを使用したほうがボード自体の楽しさも上がってくるため、デザイン重視で選んでもいいだろう。

また、一般的にウェアは型落ち品価格の下落が大きく、前年のもので気に入ったものがあればそちらを買った方が数万円得になる。技術が進歩すると言っても、1年間ではほとんど違いがないため、安く買いたい場合は型落ち品を買うのがおすすめである。

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