スノーボード選びの中で、最も重要で気を使うべきなのがブーツ。ブーツは足と直結している部分なので、ここがおろそかになるとパフォーマンスが大きく低下したり、足が痛くなる、練習効率が落ちるといった問題がすぐに出る。
足は人体の一部なので個人差がある。例えば、板とビンディングなら限られた組み合わせから相性が良いブランド、悪いブランドを探していけばいいが、ブーツと個々の足となると組み合わせは無限に出てくる。
ブーツメーカーは一般的な足のモデルを模型化し(ファントムやペルソナという)、それに合うようにブーツ設計することでなるべく多くの人の足にフィットするようにしているが、自分に合っているかどうかは履いてみないとわからないので、なるべくお店に行って一度履いてから選びたい。
目次
1.スノーボードブーツの種類
スノーボードのブーツはソフトタイプとスキーブーツのようなハードタイプに分かれるが、ハードタイプはアルペン競技用のスノーボード専用なので、一般的にはほぼすべてソフトタイプになる。
1-1.ソフトブーツ 紐の締め方による違い
一般的なブーツはソフトブーツだが、紐の締め方の違いで以下のように分類できる。
BOAシステム
ダイヤルをクルクルまわすとワイヤーが締まって固定されるタイプ。このタイプのメリットは履くときの手軽さと、力のない女性でも簡単に締めることができるという点。
ただし、全ての部分が一律に締まり、部分的にゆるい箇所があったとしてもそこだけきつくするような調整はできない。
また、このタイプは力を使わずに簡単に締められるという構造上、足を折ってしまうほどのポテンシャルを持つ。各メーカーはそうした事態を防止するために一定のところでそれ以上締まらないようなストッパー機構を付けていたりするため、ガッチガチに固めようと思っても難しかったりする。
クイックレースタイプ
ブーツの左右についている紐を引くことで締まるタイプ。こちらも手軽に締めることができる。BOAシステムのワイヤーと違い、あくまで紐を使用しているので多少は部分的に締め付けを調整することもできる。最近では、足首部分のみ独立したレースになっており、足首部分とそれ以外の締め付け具合を変えられるような製品も登場している。
ヒモタイプ
昔ながらの紐タイプ。履くときの手間はかかるが部分的に締め具合を調整できるので、コアなユーザーにはいまだに人気がある。
力のあまりない女性などはしっかり固定することが難しい場合もあるので、注意が必要である。
1-2.ステップインブーツに関して
特殊なタイプのブーツにステップインというものがある。ビンディングとブーツを固定する際に一般的なストラップで締めるのではなく、踏み込むことでブーツとビンディングの金具がかみ合い固定されるというタイプのもの。
滑る際にいちいちストラップを締めるのが面倒というとき手軽なタイプなのだが、ブーツとビンディングが専用のものとなる。
ステップイン用のビンディング
また、昔は色々なメーカーがこのタイプのブーツを出していたのだが、近年はビンディングとブーツがよりしっかりと固定されるストラップタイプのビンディングが好まれる傾向になってきたため、このタイプのブーツはなかなか手に入らなくなっている。
1-3.ハードブーツに関して
もうひとつ、特殊なタイプのブーツとしてスキーブーツのようなハードタイプのブーツがある。スノーボードのハードブーツはアルペン競技用のものとなり、板、ビンディングとともにアルペン専用のものとなる。
スピードやカービングを極めたいと思うユーザーはこうしたギアを使用すると全然異なる滑り心地となるが、金額も高く初心者はあまり気にしなくてよい分野となる。
2.ブーツ選びのポイント
まず、一番重要なことは自分の足に合うかどうかという点。お店に行って試着してみるというのが大前提となる。その際に注意したいのはソックス。普段使用しているものより、スノーボードをやる際に実際に履くようなものを用意したほうがいい。
昔はスキー、スノーボード時のソックスは保温性を重視した厚手のものが多かったが、厚手にするほど足とブーツの間に余計な層が増えるため、ダイレクトな足つき感覚が無くなっていく。近年は素材の進化によって薄くて保温性の高いソックスも販売されており、そちらを前提にしてブーツを選ぶというのもひとつの選択肢となっている。
2-1.まずはショップ選び
試着前提という以上、ショップに行かなくてはいけないのでどのショップに行くかを決めなければいけない。地元にショップが少なく、選ぶほど無いという場合は特に気にしなくていいが、東京の神田あたりには密集していたりもする。
ショップによって取り扱っているブランドが違ったりするので、気になるブランドが置いてある店に行ってみるのもひとつの手。よくわからなければ、大きい店舗に行って大量のラインナップから選ぶのもひとつの手。ただし、店員の接客態度が良くなかったり信用できないところは買わずに出よう。
時期や曜日、時間帯によっては非常に混み合うお店もありいい店員がいるのに満足に対応してもらえないこともある。なるべくなら、こまない時期や時間帯を考えていった方がいいだろう。
2-2.試着してサイズをみる
いくら良い店員がいたとしても、履いた時ブーツの中がどうなっているかまでは自分で確認することとなる。試着して紐を締めたら、立ち上がって踏み込んでみよう。
つま先側に体重をかけた際に、指先が当たっている場合はサイズが小さいか形が合わないのでサイズを上げて試してみよう。また、紐をしっかりと締めてもかかとが浮くようならサイズが大きい。一サイズ小さいものを試してみよう。かかと側に踏み込んだ時にくるぶしなどが異様に圧迫されていないかもチェック。
歩いてみて
人の足は左右で大きさや柔らかさが違うので必ず両足履いて試すこと!
満足のいくフィット感のものがあるまで妥協せずに片っ端から試してみることをお勧めする。ブーツはデザインや機能よりまずフィット感を優先させるべき。
3.ブーツのフレックスに関して
フレックスというのは硬さのこと。スノーボードブーツは外側のアウターと内側のインナーで構成されており、アウター部分のフレックスがモデルによって異なったり、部分的にやわらかくなっていたりなど各メーカーいろいろな工夫をしている。
特に初心者におすすめなのはやわらかめのブーツ。やわらかいブーツは扱いやすく、多少体制が崩れたとしても柔軟に対応できる。また、ジブやグラトリでプレス系の技をやる人はスタイルが出しやすい。
逆に硬めのフレックスを持つブーツのメリットは高速滑走時の安定性があること。また、動きは制限されやすいが、オーリーやキッカーでの高さを求める場合、より大きな力を生み出せるポテンシャルがある。
各々のスタイルに合わせて参考にしてほしい。
4.自分に合うブーツを見つけるために
冒頭にも書いたが、足とブーツの相性問題は板とビンディングやビンディングとブーツとは比べ物にならないほど難しい。万人に合うような理想的な形状など存在しないし、人種が変われば傾向も変わる。
お店でいくら試してもどうしても自分の足にフィットするブーツが見つからないという場合は熱成型という選択肢もある。価格は多少上がるが、インナーを自分の足型に合うように成型するタイプのブーツでDEELUXEのブーツが有名。
スノーボードブランド紹介2017-2018:ブーツ-DEELUXE
信頼できるお店で成型したDEELUXEは最適なパフォーマンスを引き出してくれるだろう。
THIRTY TWOというブランドも熱成型インナーを出しているが、こちらは対応しているショップが少ない。むしろTHIRTY TWOの場合、体温によって少しずつインナーが自分の足型に形成されていくというインナー技術を採用しており、そちらが有名。
他にも各メーカーいろいろな技術が詰まっているので、後日別の記事で紹介していこうと思う。