【スノボ/スキー】ゴーグル選びの基礎と主要ブランド紹介

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昔はゴーグルをしないプレーヤーもたまにいたのだが、最近はゴーグルを持たずにゲレンデにいる人をほとんど見なくなった。スノボ用具の中でもゴーグルはローエンドとハイエンドの価格差が激しく種類も多い。選び方や機能の違いがよくわからないという声も多いので、まとめておこうと思う。

1.ゴーグルの役割

スキーやスノーボードをする際にゴーグルはなくてはならないものになってきているが、実際には持ってはいるけどおでこに当てているだけで装着しないという人もいる。大体の理由は「ゴーグルの視界に慣れておらず、邪魔」「すぐにくもって見づらい」「ゴーグル焼けしたくない」など。まあ、必ずつけなければいけないわけでもないので、ファッションの一部としてとらえればそれでもいいとは思うのだが、かなりもったいない気はする。

ゴーグルの役割としてまず思いつくのは、悪天候時に目を保護する役割。吹雪の日や風の強い日はそれだけで目を開けておくことが困難であったりするが、ゴーグルはそんな環境でも視界を確保してくれる。また、中級以上になってくると滑走スピードが上がるため、同様にゴーグルなしだと目が乾いてつらいというのもある。

次に思いつくのはサングラスとしての役割。ゲレンデは日差しが雪で反射するため、晴れた日にはどこを向いてもまぶしい。ゴーグルはそうした強い日差しや紫外線から目を守ってくれる役割がある。

この二つが、ゴーグルの大きな役割なのだが、ほかにも転倒時に目をケガから守ってくれるプロテクターとしての役割などもある。

2.ゴーグルの種類

スキー用のゴーグルとスノーボード用のゴーグルには基本的に区別がなく、同一のものを使用できる。ただし、ブランドによってはスキーヤーから人気のブランド、スノーボーダーから人気のブランドと多少分かれていることもある。

ゴーグルで最も重要かつ高コストな部分はレンズなので、ここではレンズの違いによる分類に関して記載しよう。

2-1.機能面での分類

かつてはレンズもただのプラスチックで、雪や風を避けるだけの役割だったが、現在はかなりレンズ技術が発達している。各メーカー(レンズは特にオークリーが強いが)特許を取得し、独自の高機能レンズを開発しているのだが、実際は特許にかからない技術を発表したり、ライセンス料を支払うことで、ハイエンドレンズはどのブランドも似たような機能が入っている。

・ダブルレンズ

レンズのくもり止め技術の最も基本となる構造。レンズがくもる原因はゴーグル内側の空気が体温で温められる一方で外側部分は外気温で低いため、この温度差によって温かい空気が急速に冷やされ、水蒸気が凝縮してレンズ内側に付着する。

ダブルレンズ構造はレンズを2枚設置することによって、ゴーグル内側と外側での熱の伝達を遮断する仕組みのこと(魔法瓶と基本的な考え方は同一)。熱のやり取りが無くなれば内側の空気が冷やされて凝縮することも無くなるわけである。

ダブルレンズ構造はスペアレンズと交換できるようなハイエンドなゴーグルには間違いなく入っている。こうしたモデルは一見1枚のレンズのように見えて、よく見ると1mm以下の距離で2枚重なっている。レンズ交換不可のモデルや安価なゴーグルでもダブルレンズ採用のものは多く、この場合は5mm程度距離をとって2枚設置されていたりするので、見た目にもある程度わかりやすい。

・偏光レンズ

偏光レンズは昔からある技術。偏光レンズの仕組みを正しく理解するには、光とは何か、電磁波とは何か、波の性質とは何か、などを知っておかなければいけないのだが、専門的で難しい内容になるのでここでは省こう。

簡単に説明すると、雪山では太陽からの光が雪面に当たって乱反射し、いろいろな方向の光ができる。結果的に雪面全体がまぶしくなり、凹凸が見づらくなる。偏光レンズはこうした光のうち不要な方向の成分のみを遮断することで、斜面の凹凸を見やすくする仕組みのことである。偏光レンズは釣り人用のサングラスなどでも一般的なので、釣りをする人はなじみが深いかもしれない。水面でも雪面と同様の現象が起こるためであるが、かなり水の中が見やすくなるという噂である。

詳しく知りたい人は液晶パネルの動作原理などを調べるとよい。応用範囲が違うだけで、技術的な根幹部分は同様である。

・調光レンズ

近年のトレンド技術のひとつが調光レンズ。サングラスやメガネでも同様の機能を持ったものがあるが、紫外線が当たると強さに応じてレンズの色が濃くなる機能を持っているものである。ダブルレンズの内側部分に特殊な塗料が塗ってあり、これが変色することで実現している。快晴時から悪天候時まで幅広い明るさに対応できるレンズとなるが、数年たってくると塗料が劣化し、変色度合いが変わってくるとの話もある。

・ハイコントラストレンズ

近年トレンドとなって来たもう一つのレンズ技術がハイコントラストレンズ。細かい技術は各社で多少異なり、企業秘密の部分も多いのだが、機能としてはコントラストが上がり、明暗がはっきりするので雪面の凹凸や全体的な視界が見やすくなるというもの。

例えば、今までのゴーグルではブルーの波長の光は悪質で除去するべきとされていたが、近年の研究成果により、むしろ積極的に取り入れたほうが視認性は上がるということが分かってきている。あるブランドではこのブルーの光を取り入れることがコントラストの向上につながっている。

メーカーによってこのレンズ機能は名称も違うので、要確認である。

2-2.レンズ色による分類

ゴーグルを選ぶ際にもうひとつ気にしておきたいのはレンズの色。このレンズの色に関しては、細かく分けるとブランドごとに違うのでキリがない。

また、ダブルレンズの場合、インナーレンズとアウターレンズで通常は色が異なる。多くはインナーレンズにベースとなる色を採用し、アウターレンズにはミラーコーティングなどを施したサポートカラーとしての役割を持たせることが多い。

視認性に大きくかかわる部分はインナーレンズということが多いので、ここではインナーレンズに採用されているベースカラーという前提で、レンズの色を大別すると以下のようになる。

また、補足するとこの色というのは外からどう見えるかというよりも自分の視界が何色に染まるかということを意味する。外からの見た目はアウターレンズのコーティングに依存する場合が多く、視界の色とは一致しないことも多いので注意。

・オレンジ系

古くから採用されているオーソドックスなカラー。基本的に全天候に対応できるオールラウンドなカラーだが、視界がオレンジに染まるのは違和感が強いと言って嫌う人もいる色である。

・ピンク系

ピンク系も全天候に対して使用できるオールラウンドなカラー。オレンジ系よりも多少明るく感じる人が多く、コントラストも良いため、ナイター使用もできるだろう。曇天や悪天候が多い日本の山、瞳が黒い日本人が使用するということを考えると、筆者は最もおすすめするカラーである。

・イエロー系

イエロー系は光の透過率が高く、悪天候時やナイターで見やすいカラーである。吹雪の時に視界が見えなくなるのがすごくストレスだという人に向いているが、逆に晴天時はまぶしく感じるかもしれない。

・ブルー系

ブルー系も全天候で使いやすい色。オレンジやピンクと比べると若干暗めになっているものが多いが、ブランドによっては光の透過率が高く見やすいものもある。

・グレー系

グレー系は基本的に晴れた日と相性が良いレンズ。まぶしさを抑えてくれる。ただし、ものによっては着色が薄く全天候で使えるものもある。というのも、グレー系の一番のメリットは余計な着色が入っていないため、視界が自然な色に見える点にある。

・クリア

クリアレンズは着色が入っていないタイプのレンズ。光の透過率が最も高く、悪天候時やナイター時の明るさは一番高い。晴天時にはまぶしく感じるので、ナイター用のスペアレンズとして用意する人が多い。

2-3.レンズ形状による分類

レンズの形状によってゴーグルは平面レンズと球面レンズの2種類に分かれる。見た目が違うので、見ればわかるだろう。

・平面レンズ

文字通り、平らなレンズにわずかなアールを付けたタイプのレンズ。平面レンズのメリットは、製造コストが安い点、比較的やわらかいため顔にフィットしやすいという点、球面レンズに比べて、視界が歪みにくいという点などがある。

・球面レンズ

レンズ自体が少し丸みを帯びているタイプのもの。平面レンズよりも多少高価な場合が多いが、この場合のメリットは、レンズが硬く転倒時の保護性能が高い点、レンズ内の容積が大きいため、曇りにくい点などがある。

見た目もかなり異なり、球面のほうが格好良いと言って好んで選ぶ人が多いため、ラインナップとしても球面レンズが主流である。

3.ゴーグルの選び方

ゴーグルを選ぶ際には、ぜひ一度店頭で装着してみることをおすすめする。顔の形状は一人ひとり異なるため、つけてみると頬の部分が当たって痛くなりそうだったり、鼻の部分が大きく空いてしまうなどといった問題が出たりする。

人気のゴーグルブランドは海外メーカーのものが主流なのだが、フレームは外国人向けの形状でつくられている。ものによってはJAPAN FITやASIAN FITモデルとして、フレーム内側のスポンジ部分が、日本人の骨格に合いやすいように厚めにつくられているものもあるが、フレーム自体の湾曲度合いなどは一定である。

レンズに関しては最近のハイエンド製品の場合は、どれもかなり見やすいので全天候に対応できるタイプをひとつ用意すればいいだろう。使用してみてナイターはやはり見づらいなどの問題があればスペアレンズとして購入するということもできる。

4.主要ブランドとおすすめモデル

4-1.Oakley(オークリー)

スポーツサングラス界で絶大な人気を誇るブランド。ほとんどの人は一度ぐらい名前を聞いたことがあるだろう。スノーボードゴーグルとしてもトップシェアとなっている。

会社自体は1975年にアメリカで創業された。初めはモトクロス用のハンドグリップメーカーとして設立。その後1980年から、スポーツ用ゴーグルの販売を開始している。

オークリーの人気の秘訣は何といってもレンズ技術の高さ。レンズ関係の特許だけでかなりの数を持っている。現在では、他メーカーも似たような技術を使ってレンズ開発に取り組んだため、実際はそこまで差が無いようにも思うが、それでも業界を代表するレンズ技術というのがオークリーの特徴である。

米軍特殊部隊のSEALsやデルタフォースでオークリー製のゴーグルが正式採用ことでも有名。

おすすめモデル:CANOPY

かなり前から人気のモデルはCANOPY(キャノピー)というもの。フレームが大きく端から端まで見渡せる広い視界が特徴。トリプルレイヤー構造でかけ心地もよく、メガネにも対応している。

オークリーのレンズに関してはPRIZMレンズというものをおすすめする。このレンズは一言でいうとコントラストが強化されているもの。2014-2015シーズンから出しているのだが、幅広い気象条件に対応でき、劣化防止効果もついているというハイエンドレンズである。

レンズはスペアレンズとして単品購入もできるので、フレームのデザインに合わせて選び、レンズは追加で買うという手もある(金額は高いが)。

4-2.SMITH(スミス)

アメリカのオレゴンで1965年にBob Smithによって設立された会社。日本ではマイナーだが、Smith Opticsという呼び方もある。Bob Smithは矯正歯科医だったが、スキー好きで、パウダーランの際にくもらないゴーグルとしてサーマルレンズを開発した。

スミスのゴーグルはその流れを引き継ぎ、くもらないことで有名。ダブルレンズ構造はもちろんだが、スミスはもともと2枚のレンズの接着技術がかなり高く、レンズ間の水分の侵入を防いでいる。

また、すべてのモデルでインナーレンズにはFOG-X LENS TREATMENTという加工がされている。これは、目に見えない微細な溝を入れることで水滴の付着を防ぐ加工。

こうした各種の技術が「スミスのゴーグルはくもらない」という評判につながっている。

おすすめモデル:I/OX

スミスのハイエンドモデルはI/Oというシリーズになる。I/OXはI/Oシリーズの中でも特に大きなフレーム、大きなレンズを持っており視界が広い人気モデル。

スミスのレンズはコントラスト機能を強化したクロマポップレンズというのがあるが、I/Oシリーズには標準でこれが付属する。また、I/Oシリーズには1枚スペアレンズとして付属のレンズがついてくるため、わざわざ購入しなくても天候に合わせて交換することが可能。

レンズの種類は色々あるが、調光レンズがついており、周囲の明るさに合わせて自動的にインナーレンズが暗くなるものもあるため、こちらが良いというユーザーは調光レンズ付きのモデルを選ぶと良い。

4-3.SWANS(スワンズ)

もともとは1911年に眼鏡用のレンズ加工メーカーとして誕生した山本光学がブランドの前身である。1972年にSWANSとしてスポーツシーン用の製品を展開し始めた。100年以上に渡り培ってきたレンズ技術は一流のものである。

日本人が開発してきたレンズ技術なため、日本人の目に適したレンズづくりが得意。日本人は目の色が黒いため、もともと明るい場所に強い。海外メーカーのオリジナルモデルをそのまま使用すると日本人にとっては暗くなりすぎることも多いのだが、SWANSのゴーグルはそうしたトラブルなく見やすいレンズを実現している。また、フレームに関しても日本人の顔にフィットしやすい。

古くから販売している純日本ブランドということもあり、スキーヤーからの人気が高いブランドという印象を受ける。

ちなみに、SWANSブランドを展開している山本光学は「YAMAMOTO」ブランドとして業務用製品も展開している。工場用の保護メガネや、レーザー遮光メガネ、レスキュー隊用のゴーグルなど人命にかかわるような製品を展開しており、品質と技術力の高さがうかがえる。

おすすめモデル:[ROV]O

ロヴォと読むのだが、SWANSのハイエンドモデル。[ROV]Oの非常に特徴的な点は、A-BLOW SYSTEMというくもり防止機能。ゴーグルがくもる原因はゴーグル内側の空気が体温で温まるのに対して、外の空気は低いため、この温度差によって水滴がつくためである。A-BLOW SYSTEMはゴーグル下のつまみをひねることで、レンズが前へ押し出される機構のことであり、これによってくもりそうになった際に内部の温かい空気を外へ逃がしてやることができる。

手動での操作であるが、いざという時にくもりを防止することができる。

レンズはパステルブラウンミラー×偏光ピンクレンズあたりが見やすくておすすめだろう。

4-4.DICE(ダイス)

DICEも国産のゴーグルブランド。というか、SWANS同様、山本光学が展開しているゴーグルブランドである。SWANSがスキーヤーに人気があるという印象が強い一方で、DICEはスノーボーダー向けというイメージが強い。

母体が同じなので、レンズ技術など技術面での特徴はSWANSと同一。デザインと細かいラインナップの違いになる。

また、DICEはブランドロゴのデザインが特徴的で人気だったりもする。ステッカーも販売されており、マイボードに貼るユーザーも多い。

おすすめモデル:JACK POT

DICEのラインナップで人気なのはJACK POT。DICEの人気を確立したともいえる代表モデルである。

JACK POTの特徴は何といってもフィット感。日本人の顔の形状にかなりフィットしやすいため、快適なつけ心地となる場合が多い。ぜひ、一度店頭で試してもらいたい。

ヘルメット着用時でも装着しやすいようにゴーグルとベルトのつなぎ目部分が外れる仕様になっている。

レンズ技術もSWANS同様、日本人の目にあったクオリティの高いものである。

広い視界のBigゴーグルがほしければ、HIGH ROLLERというモデルがおすすめである。

4-5.ELECTRIC(エレクトリック)

エレクトリックは2000年にアメリカのカリフォルニアで誕生したゴーグルブランド。「機能性のあるスタイル」ということをテーマに、デザインと機能を両立させたモデルを展開している。

もともとはボルコムが展開するブランドだったが、2007年にゴーグルメーカーとして独立している。現在でもボルコムと仲がよく、毎年コラボレーションモデルを出している。

おすすめモデル:EGG

エレクトリックでおすすめのモデルはEGG。エレクトリックには、長らく人気定番モデルのEG2というものがあった。元祖ビッグフレームゴーグルと呼ばれ、広い視界とデザイン性の良さが特徴的なモデル。EGGはEG2のアップグレード版として近年登場したものである。

基本的には球面レンズだが、センター部分のみフラットに近い形状をしている。そのため、センター部分が目に近づき、視界の歪みを減らしつつ、広い視界を確保している。また、完全に球面のレンズよりも、人の顔へのフィット感が向上するという効果もある。

もちろんJAPAN FITモデルとしても展開している。

さらにエレクトリックのゴーグルはJAPANレンズとして、日本人の目に適したレンズを3種類展開する。特におすすめなのはGREY/GOLD CHROMEというグレーベースにゴールドのクロームコーティングを施したもの。全天候において見やすく、色の違和感も少ないモデルである。完全に日本でしか販売していない日本人のためのレンズである。

4-6.Dragon(ドラゴン)

1993年から始まったブランドである。こちらもアメリカのカリフォルニアの会社。トップライダーからのフィードバックを積極的に取り入れ、技術の進化を遂げてきた。

近年は各国に合わせたローカライズ製品開発に取り組み、人種の違いによる骨格や瞳の特性の違いに合わせたフォーム、レンズカラーを開発している。

また、ドラゴンは日本で売っているほぼすべてのラインナップがJAPAN FITモデルとなっており、モデル数も多い。

おすすめモデル:D3

ドラゴンの定番モデルは長らくROGUEというモデルだったのだが、D3はそれをベースにフレームのサイズを上げたもの。広い視界で、メガネにも対応している。

レンズは基本的にジャパンルーマレンズというものが採用されており、こちらも日本人の目の特性に合わせた全天候型のハイコントラストレンズとなっている。ただし、調光レンズと偏光レンズ採用のもののみジャパンルーマレンズ非採用となっているので注意。

5.まとめ

スキー、スノーボードのゴーグルの選び方と主要なブランドに関してまとめた。

本当は、見やすさに関しては雪山で確認したほうが良いのだが、なかなかそのような機会も少ない。一部の合同試乗会などのイベントで、各ブランドのゴーグルを試せたりする場があるので、レンズの色味が気になる場合は利用してもいいだろう。

また、ここではハイエンドなモデルを紹介したが、最近は比較的安価なモデルでも十分な機能を持っているものも多い。筆者はかつて10年間ぐらいKissmarkの¥5,000程度のものを買い替えながら使用していたが、通常使用では特に不満もなく使えるものだった。相当ひどい吹雪の時に見づらい、くもるなどの問題が出たが、通常の天候ではそのようなこともなかった。

価格が高くて悩んでいる場合はそういったミドルクラスの価格のものをおすすめする。

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