靴屋に行くとアクセサリーコーナーにインソール(中敷き)が置いてある。通常の靴にはもともとインソールが入っているため、大半のユーザーはわざわざインソールを変えようとはしないだろうが、販売されているインソールを見てみるとなかなか高価格のものがあったりする。
今回、その中でも最近着実にシェアを伸ばしてきているSUPERfeetという製品を購入してみたので、記事としてみる。
目次
1.SUPERfeetに関して
1-1.SUPERfeetとは
SUPERfeetとは足病医学に基づいた理論をもとに、多くの人の役に立つ手ごろな価格のインソールをつくるという思想の元、アメリカで開発された製品である。
独自の三次元立体構造は足を深く包み込む構造となっており、歩行や運動時に足本来の機能が発揮できるようサポートすることで、足にかかわる問題や靴の快適性を向上させる。
アメリカで40件以上の特許を持っており、他の製品にない唯一無二のハイエンドインソールである。
1-2.足の構造とSUPERfeetの役割
SUPERfeetの機能を説明するために、まず足の構造の理解が必要になってくる。ここでは重要な部分に絞って、足の構造と足にかかわる悩みに関して簡潔にわかりやすく説明する。
足は大きく分けて3つの領域に分かれる。かかとの下の部分に位置するベースの「後足部」、土踏まずのアーチを形作っており、側根骨、中足骨から成る「中足部」、親指の付け根から先の部分に位置し、歩行の際の蹴り出し動力となる「前足部」である。
それぞれの部分は複数の骨の組み合わせによって構成されているため、ある程度の柔軟性がある。
歩行や運動の際に荷重が加わると、土踏まずを形成するアーチが広がり、わずかに下に沈み込むことで、衝撃吸収の働きをする。ただし、構造上、かかとの内側の部分にある空洞部分を起点として、内側に倒れこむようにしてアーチが広がるようなつくりになっており、これを「回内」という。
足腰に問題がない通常の状態であれば、この骨構造に筋肉の支えがついているため、必要な分の回内動作を行い、理想的なクッションとしての機能を発揮する。しかし、老化に要る筋肉の衰えや、悪い姿勢、悪い歩行の癖、悪い靴などによって、筋肉のバランスが崩れると過剰回内(オーバープロネーション)という問題が発生する。
過剰回内の状態になっているときには、ふくらはぎから足先にかけての軸がぶれている。この軸のぶれによって、偏平足や外反母趾、膝痛、腰痛、背中の痛み、首の痛みなど様々なトラブルが引き起こされてしまう。
SUPERfeetの一番の主要機能は、かかとの内側を起点とした回内動作の支えをサポートするという点である。本来、筋肉が行うべき回内動作の支えを、ある程度のクッション性を持つインソールでサポートすることによって、正しい動作ができる形を作り出し、過剰回内によるトラブルを解決する。また、使い続けることによって、正しい動き(姿勢、歩き方)の癖付けや、必要な筋肉の発達にも寄与する。
SUPERfeetは、特許取得済みの独自形状によって上記の機能を実現している。
1.深くて頑丈なヒールカップ
深いヒールカップによってかかとを支えることで、足のポジションを安定させる
2.後足部サポート形状
過剰回内を防ぐ形で足を支える後足部形状
3.足骨格のねじれ補正
独自の素材や構造による柔軟性で、足の回内動作によるクッション性能を適正に発揮させる
また、それ以外にも、かかとの支えがしっかりとすることにより、歩行や運動時における必要以上の筋肉の緊張を抑制できるため、疲労軽減などの効果も期待できる。
2.オーダーメイドインソールというオプション
SUPERfeetのもう一つの特徴は自分の足裏に合わせてオーダーメイドで成形することが可能という点。オーダー成型を取り扱っているお店に行くと、座面の位置が高い専用の椅子が置いてある。
実際にオーダーを頼むと、まずスタッフによって足のサイズや加重時の足の広がり具合などを測られ、最適なSUPERfeetを提案してくれる。その後、椅子に座った状態でSUPERfeetを足裏へセットされ、上からビニール袋をかぶされる。足首部分で袋の口を閉じ、一緒に袋の中へ挿入されたチューブから袋内の空気を吸引することで、インソールの形状を足裏に合わせていく。
お店でパッケージとして販売されているSUPERfeetは一般的な足裏形状をモデルにしてつくられた汎用品。オーダー成型すると自分の足裏形状にぴったりと合ったものがつくれる。また、通常人間の足は左右対称ではない。足の縦幅、横幅、高さも、足裏の接地面積も、回内度合いも違うのが普通である。オーダー成形すると、そうした左右の差も補正され、ぴったりのものとなる。
オーダー成型した際の価格は、約¥15,000から¥20,000程度。なかなか価格が高いが、足にトラブルを抱える人にとってはそれなりの価値のある製品だと思う。
このオーダー成型がどこでできるのかというと、現在は非常に多くのお店で実施されている。もともと、SUPERfeet自体、スキーブーツ用のインソールとして開発が始まったという経緯もあり、スキーブーツやスノーボードブーツを取り扱っているスポーツショップで対応されている店舗が多い模様。それ以外にも、オーダーメイドインソールの専門店や足のトラブルが専門の整骨院などのクリニックでも対応している場所が増えている。
3.使用してみた感想
今回購入したのは、スポーツショップにおいてあるSUPERfeetの汎用パッケージであるが、以前筆者は、スノーボードブーツ用にオーダーメイドのSUPERfeetも作成したことがある。スノーボードは雪面への力の伝達度合いが非常に重要になるスポーツなので、足裏のフィット感向上やSUPERfeetによるサポートというのが顕著にパフォーマンスに影響する。
汎用品とオーダー品の両方を使ってみた感想は、確かに多少フィット感の違いはある。オーダーメイドのほうが感動的なフィット感を実現できている。ただし、汎用品も確かにSUPERfeetの特徴である、かかと部分のサポート力というのを感じられ、価格差を考えると汎用品のお買い得感を感じた。
ただし、筆者は何度か足の専門店で診断してもらったことがあるのだが、かなり理想的な足構造をしているらしい。SUPERfeetを使用しなくても、かかと部分をベースにしっかりと必要な部分に対して体重が乗せられている。
こうした特徴のため、汎用品のSUPERfeetがたまたま自分の足にフィットしたという可能性もある。足の構造は個人差が大きいため、自分がどんな特徴の足なのか、オーダー成型の専門店などで調べたうえでどちらを買うか決めることをお勧めする。足の診断のみであれば、無料でできるところも多い。
筆者の足で、強いて懸念点を挙げるなら、土踏まずのアーチ構造が高く、全体的に接地面積が小さめなので、多少不安的で疲れやすい足をしているとのこと。筋肉がしっかりとしているうちは筋肉で支えられるので、足に関するトラブルにはつながらないそうである。
筆者がSUPERfeetを購入した目的は、SUPERfeetによって、かかとの安定性をサポートすることで、筋肉にかかる負担を軽減できるのではないかと思ったためである。実際、以前よりも足の疲れが軽減された感覚がある。
4.SUPERfeet主要モデル
SUPERfeetの商品の中で、主要なモデルをいくつか紹介する。
4-1.定番モデルGREEN
SUPERfeetを代表する定番モデルのGREEN。深めのヒールカップが特徴で、しっかりとしたサポート力を実現する。サポート力は申し分ないが、厚みがあるため浅めの靴に入れると、かかとが多少靴から出てしまうことがあるのが欠点。
4-2.マイルドな使い心地のBLUE
BLUEは浅めのヒールカップ、かかとのホールド力もGREENよりマイルド。厚みも浅いので、幅広い靴に対応可能なモデル。
4-3.コンパクトなBLACK
BLACKはBLUEよりもさらに浅めのヒールカップで、コンパクトなモデル。スポーツシューズなどタイトフィット向けのモデルとなっている。
4-4.軽量ハイパフォーマンスのCARBON
カーボンはかかと部分の支えとしてカーボン繊維を使用しており、軽量化が図られている。タイとフィットなスポーツシューズに向けて作成されたハイエンドモデルである。
4-5.ハイレスポンスのORANGE、BERRY
ORANGEの特徴は深めのヒールカップをベースにしつつ、前足部に低反発衝撃吸収パッドを取り付け、前足部分に対しての地面からの衝撃を吸収できるようになっている。硬い地面でも快適に歩けるようになる。メンズ向けはORANGE、レディース向けはBERRYというモデル。
4-6.強いパワー伝達を実現するYELLOW
YELLOWはスケート靴やサイクルシューズなど、タイトかつ足裏のパワーをしっかりと伝えることが重要なスポーツシューズ向けのモデル。土踏まずの部分が盛り上がるような形状をしており、足のパワーをよりしっかりと伝達することができる。
4-7.ビジネスシューズ向けEASYFIT
EASYFITはSUPERfeetで重要なかかと部分のサポートに重点を当て、つま先部分は省略したモデル。インソールが取り外せないビジネスシューズや、通常モデルでは、つま先部分が圧迫されてしまうタイトフィットのシューズ向けのモデルである。メンズ向けとレディース向けそれぞれがある。
4-8.ハイヒール向けEASYFIT High Heel
EASYFIT High Heelはハイヒールを履いた際の疲れを軽減させるというコンセプトのモデル。ハイヒールはファッショナブルな見た目に反して、ヒール高が高くなるほど、加重されるポイントがかかと部分からつま先部分へと移り、足の筋肉にかかる負担が大きくなる。EASYFIT High Heelを使用することで、SUPERfeetが持つ、かかと部分のサポート性能によってハイヒール使用時でも加重ポイントをかかと側へずらせるようになるため、足への負担を減らせるようになる。
5.まとめ
SUPERfeetを購入したので、特徴や機能等をまとめてみた。インソールにしてはかなり価格が高いので、なかなか大ヒットするような商品ではないと思うが、足にトラブルがある人にとってはかなりおすすめの商品なので、一度購入して試してみるといいと思う。