マイホームを検討するうえで、何県の何市に住むかというのは、かなり重要な問題である。筆者は、通勤の関係で神奈川県に住むというところまで決めていたが、いざ土地を探そうとしたときにそれ以上エリアを絞って探すことができず、なかなか苦労した。今回は、土地を決定するまでの手順を記載しようと思う。
目次
1.住みたいエリアに関しての条件出し
住宅購入をする際には、まず、ある程度住みたいエリアを絞る必要がある。一般的に住みたいエリアは下記のような項目によって絞られてくる。
- 通勤の利便性(最寄り駅や主要道路)
- 街の利便性、雰囲気、治安
- 必要な広さに対しての土地価格相場
- 子育てのしやすさ、学力レベル
しかし、実際は、通勤や街の雰囲気だけで住みたい街を決めても、土地の相場を調査してみると断念せざるを得なくなるケースが多く、価格と利便性、必要な広さなどを同時に見ていかなくてはいけないため、非常に時間のかかる作業である。
筆者の場合、住宅購入の検討開始段階で決まっていた条件は、
- 日々の通勤と転勤の可能性を考えて神奈川県に住む
- 都内へのアクセスが良い路線沿い
- 商業施設や飲食店の密集している都会よりも、ある程度落ち着いた住宅街が良い
また、注文住宅か戸建ての建売購入かを絞っていなかったため、希望条件で気に入った建売があればそれを買おうと考えていた。
これだけでは住むエリアは決まらないので、FP相談やどんな家に住みたいかを具体化した上で、
- 住宅購入予算は7000~8000万円
- 土地面積は40坪以上
という条件を追加。この条件で、実際の価格を見ながら住む場所を決めようと思った。
2.不動産屋に相談
しかし、実際、不動産屋に相談したところ、どの不動産屋でも「神奈川県でこの条件だと、該当するエリアが多すぎるため、どのあたりに住みたいかを絞るべき」と言われる。不動産屋としては、「xx駅のあたりに住みたい」「xx市に住みたい」まで絞ってもらった上で、予算に見合う物件が無い場合、その周辺のエリアに範囲を広げて探していきたいらしい。
仕方がないので、「じゃあ、例えばxx駅の周辺でいい物件を紹介してほしい」と言ってみるが、案の定、気に入るような物件は出てこない。
3.自分で土地を探す方針
不動産屋は、REINSという物件管理システムにアクセスすることができ、基本的にはどの不動産屋でも同一の物件を紹介することができる。このREINSに出てくる物件は、現在は、ほとんどの物件がSUUMOやアットホームといった不動産検索サイトにも出てくるらしい。
実際、不動産屋に行って出してもらった物件を見ると、ほとんどすべてが検索サイトで出てくるものであった。
そこで、不動産に足を運ぶより、検索サイトを使用して自分で良い物件を探したほうが早いと思い、自分で気になるエリアの物件を探す方針にした。このやり方であれば、エリアを絞り切れていなくとも、気になる駅の周辺の物件を、価格を見ながら探すこともできる。
購入する際は、不動産業者を通さないとできないので、気になる物件は、場所などの詳細情報を不動産屋に出してもらい、必要に応じて実際に現地へ行って確認する。
4.土地探しのポイント
4.1.首都圏分譲地における土地面積の問題
最終的には、上記の方法で53坪の土地を購入することに決定した。また、建売り購入ではなく、土地を購入して注文住宅を建てることとした。一番の理由は土地の広さ。
土地探しをしていくと分かってくるが、神奈川県で建売りを探すと大部分は土地面積が30坪台になっている。これば首都圏などの都心部において、かなり前から起きている現象。
不動産販売は、現在の持ち主が売りに出した際に行われる。この時、売りに出される土地が広めの場合、複数の土地に分割して販売したほうが利益が大きくなる。例えば、70坪5000万円で販売するよりも、分割して35坪3000万円を2つ売ったほうが利益が大きい。田舎では、狭い土地はあまり売れないが、人口増加が進む都心においては、狭くてもこの価格なら手が出せるので欲しいという人が多く、こうした売り方が主流になっている。また、売り主側としても、売りに出した土地はなるべく早く販売してしまったほうが、管理費用がかからないため、売りやすい形で販売したい。
この時、重要になってくるのが各自治体の条例。神奈川県内の多くの市区町村では、景観や街の利便性を考え、約100平米以下(30坪)で宅地を販売してはいけないことになっている。つまり、60坪以上ある土地が売りに出される際には、分割されて30坪になってしまう。89坪であれば、44坪強2つになるが、90坪を超えると30坪台3つに分割される。こうした理由によって、首都圏において分譲地として販売される物件は土地面積30坪台が多くなっている。
建売り住宅は、こうした分譲地をハウスメーカーが購入し、複数棟建てて販売するケースが多いため、結果的に建売り住宅は土地面積30坪台が多くなっている。
筆者は40坪以上(できれば50坪台)の物件が欲しいと思っていたため、やはり建売りはなかなか見つからなかった。この場合、一番多く出るねらい目は旧分譲地。昭和に分譲された土地は50坪台のものも多くあり、こうした土地が売りに出される場合は2つに分割できないためそのままの広さで販売される。分譲地と違い、周囲の住民と年齢層が違ってくる可能性はあるが、時間とともに徐々に若い年代に移り変わって、分散されていくものである。
こうした理由で、我が家は旧分譲地を購入し、注文住宅を建てることとした。
4.2.特定不動産業者専売物件、ハウスメーカー独自物件
販売されている不動産の大多数はREINSに登録され、どこの不動産業者でも紹介できるが、中には特定の不動産の専売物件となっており、REINSに登録されていない物件もある。こうした物件はその土地に昔からある地域密着型の不動産業者に多い。
地域密着型の不動産業者の中には、自社サイトに無料登録することで、自社で抱える物件を見ることができるものもあり、筆者も土地を探すうえでいくつか登録していた。
また、大手ハウスメーカーには自社で分譲地を購入し、建売り販売やそのメーカーで建てるという前提での土地販売をしている場合がある。その場合は、街並みが整っていたり、同程度の収入の人が集まりやすいといったメリットがある。
傾向としては、ダイワハウスが自社分譲地を多く持っている印象が強い。地域の地主とのつながりを多く持っているため、他のハウスメーカーよりも分譲土地価格が抑えられているケースも見受けられる。
4.3.良い物件が見つからない場合
良い物件に巡り合うのは運次第というところもあり、土地探しには時間がかかるのが普通である。ただ、住みたいと思ったエリアで希望条件、希望予算に見合う物件がなかなか見つからない場合は、他のエリアに目を向けることをおすすめする。
基本的に土地価格は嘘をつかない。土地には必ず自治体が算出した評価額があり、その評価額にある程度のコストや利益を上乗せして土地価格が決まる。つまり、チラシに記載してある項目上良く見えても、周辺の土地相場に対して安い土地には必ず安い理由がある。騒音や悪臭、地盤が弱い、隣地に迷惑な人がいる、季節によっては虫が大量発生など、チラシの項目に載らないポイントも多くあるため、自分の予算と条件にあった土地相場の地域で物件を探すことが、失敗しないためのポイントである。
まとめ
今回は土地を決めるまでの方法と、土地探しのポイントを記載した。
土地を探してみて、神奈川の土地は本当に高いと実感する。実際の購入価格は53坪で3000万円程度だったが、これでもかなり安いエリア。先日、北海道にある本家が農場を手放し住宅街に引っ越したので行ってみたが、98坪の土地で500,600万円程度だったらしい。。。建物も5LDK、リビング20帖、ダイニング15帖、総床面積60坪を超えるような家だったが、中古購入で土地と合わせて1500万円程度とのこと。築年数は10年程度といったところか。神奈川だと同じ条件で1億5000万円くらいはしそうであった。地方に仕事があればなぁ。