スノーボードギアカタログ2019-2020:ALLIAN

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アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、日本と世界中で活躍するライダーたちの手によって立ち上げられたALLIAN(アライアン)。スノーボードの楽しさを追求し続けるライダーたちの思想が深くしみ込んだボードは世界中で人気となっている。

そんなアライアンのラインナップを紹介しよう。

1.アライアンについて

1999年にスノーボーダーによるスノーボードブランドとしてアメリカ オレゴンに設立したブランド。アメリカ、フランス、スウェーデンなどの8人のライダーによって立ち上げられ、どんな環境でも高い滑走性能と自由なコントロールを実現している板として人気のブランド。実際に日本のゲレンデのような湿り気の強い雪質でもよく滑ってくれる。

ブランドネームの由来はAlliance(=同盟)という単語から来ており、ライダーたちが助け合ってスノーボードの楽しさを追求し広める理想のチームを表している。

2016年から生産拠点をオーストリアのマザーシップへと移転し、最先端技術と熟練工の技を駆使して生産されている。

日本人のプロ選手でもALLIANを使用している人は多くTVで見かける機会も意外と多いブランドである。

2.アライアン ラインナップ

アライアンの板はそれほどラインナップが多くなく、10モデル程度。もっとも、バートンやサロモンが多すぎるだけで、本来純ボードメーカーとしてはこれぐらいのラインナップがモデル間の違いも出せ、適切なのだろう。

また、アライアンの板は「どんなコンディションでも楽しめるように」という思いでつくられているためか、フリースタイル向きという印象を受ける。ブランド全体の傾向として、板はやわらかめに思うので、好んで使うグラトリプレーヤーもいる。

もうひとつ、ブランドの特徴ともいえる点はロッカー形状のボードをつくっていない点。ツインキャンバーと呼ぶ、いわゆるダブルキャンバー形状のモデルは出しているが、それ以外はすべてキャンバーベース。さらにアライアンはキャンバーの程度を6mm、4mm、2mmという3段階に分けており、接地部分からどれだけセンターを浮かせているか数値で表している。6mmは最もキャンバーとしての特性が出せ、4mm、2mmとなるほどルーズな乗り心地が得意となる。

2-1.PRISM

アライアンを代表する人気モデルがPRISM。アライアンのラインナップの中ではミディアムフレックスのモデルとなっており、オールマイティにどんな乗り方もこなせる。

形状は6mmのキャンバー形状。また、ツインシェイプでノーズとテールの長さが等しい。

ソール素材にnano HIGH SPEED技術と呼ばれる超高分子ポリマーを使用しており、どんな雪質でも滑走性能が良い。これは、高分子の素材をソールに使用するとアモルファスというワックスのしみこむ部分を多くすることができるためである。また、BOXなどのアイテムに対する耐久性も高くなる。

特徴的なのは、20mm幅のカーボンファイバーをV字状に入れている点。これによって爆発的な反発力と操作性を実現している。

また、PRISMにはLimitedモデルが存在し、こちらはX-BASALT FIBERという溶岩から抽出された強靭で高弾性の素材をファイバーシート状にして、X字状に入れている。通常のPRISMよりもさらに高反発を得られるので、オーリーで抜群の高さが出せる特別仕様。

2-2.INGEMAR BACKMAN “Back to future”

アライアンを代表するチームライダーであり、創業者の一人でもあるインゲマー・バックマンのフィーチャーモデル。彼は1996年スウェーデンで行われたクォーターパイプの大会で当時のワールドレコードとなった高さを出している選手である。

INGEMARの特徴は反発力のある硬めのフレックスに細めのウェスト幅を持っている点。カービングを得意としてジャンプまで対応できるフリーカービングボードである。

6mmのキャンバーに、ディレクショナルシェイプを持つという点もフリーライドモデルさながら。ソールはIS7200と呼んでいるが、いわゆるシンタードソールと思ってよい。

また、ファイバーグラスレイヤーに30mm幅のカーボンファイバーをX字状に入れてあり、高反発化させている。V字のカーボンファイバーよりも硬くて高反発となる。

2-3.NIRVANA

NIRVANAもPRISM同様ハイエンドなオールラウンドボード。と言っても、特徴はかなり違う。形状はツインキャンバー(ダブルキャンバー)に若干ノーズが長いディレクショナルキャンバー。かつ、全体的なフレックスはやわらかめとなっている。また、PRISM LTDと同様のX-BASALY FIBERが入っている。

これらから何が言えるかというと、全体的な乗り心地はPRISMよりもフリースタイルよりで、プレス系のトリッカー向けだろう。やわらかめのフレックスとツインキャンバーで弱くなっている反発力を補うためにX-BASALY FIBERを入れ込んでいるといったところか。

また、ディレクショナルツイン形状を入れることによってフリーライドとしての特性やパウダー時の浮力もある程度出している。まさしく、特徴がわかりやすいオールラウンドボードである。

2-4.ATLANTIS

この辺りから少しずつ価格が下がり始める。

ATLANTISはNIRVANAよりもやわらかいフレックスを持つフリースタイルボード。ツインキャンバー、ツインシェイプを持つ。

基本的にはダブルキャンバーのジビング向けボードと思ってよいが、特徴的なのはコアに網目状に貼り付けられているカーボンフリース。やわらかいフレックスの中にも確かな反発を感じさせてくれる。

価格が多少安く抑えられているのはソールの素材がIS4000と呼ばれるものだからであろう。いわゆるエクストルード成型によるものだと思うが、シンタードよりもワックスの吸収量は少ない。しかし、ワックスをかけなかった際の劣化が遅いのでメンテナンス嫌いなユーザーはむしろこちらの方が良いだろう。

2-5.DAMAGE

DAMAGEもソフトフレックスを持つジビング用ボード。こちらは、4mmのキャンバー形状、ツインシェイプタイプのボードである。

特徴的なのはワイドなノーズとテールを持っている点。プレス系のトリックでの安定性が上がる。また、長さの短いタイプも出しており、ショートボードとして選ぶユーザーもいる。

キャンバー形状のジビングボードがほしいならこれ。

2-6.GRIND

GRINDは2mmという低いキャンバー形状が特徴的なボード。「スケートボード感覚でスノーボードを」というのがコンセプトとなっており、軽快なスウィング感と雪の起状に吸い付くような感覚が得られる。

フレックスもかなりやわらかくジブやフラットトリック向けのボードとなっている。

また、価格が安価で手が出しやすい。

3.レディースラインナップ

もともとスノーボードの板はメンズ、レディースの区別があまりなく、レディースでもメンズの短めのものを使用しているユーザーも多いのだが、アライアンはレディースラインナップを出している。

メンズと比べて価格が安いのも特徴的。

3-1.PRISM GIRL

PRISMのレディース版。レディースラインナップ中のハイエンドモデルである。

基本的な特徴はPRISMと同様で、6mmのキャンバー、ツインシェイプ、nona HIGH SPEEDソール、V字に入ったカーボンファイバーなどが入っている。違いは、ボードの長さの他に、幅、重量などもレディースに合わせて調整されている。フレックスもPRISMよりやわらかい。

こうしたスペックなのに、なぜか定価がPRISMより¥7,000も安くなっているのが不思議である。

3-2.VIVIAN

VIVIANはミドルクラスのレディース用ボード。キャンバーは4mmとなっており、PRISM GIRLよりマイルドな乗り心地。ツインシェイプなのは変わらない。

フレックスもPRISM GIRLよりやわらかく、これからパークやジブにトライするという人にありがたい仕様となっている。

ミドルレベルのレディースにとっては最もバランスの取れた設計と言っても良いフリースタイルボードである。

3-3.SUNDAY

入門者向けのレディースボードがSUNDAY。

非常にやわらかいフレックスを持っており、反発性よりも扱いやすさを重視している。キャンバーも2mmになっており、乗り心地もマイルドでフリーな傾向。

ポップなグラフィックもレディースらしさを出しており、人気となっている。

4.まとめ

アライアンのラインナップを紹介したが、ブランドの特徴はやはりやわらかめのフレックスを持つフリースタイルモデルが多いという傾向。また、モデル数が絞られておりそれぞれの傾向がかなりはっきりしているため、選びやすいだろう。

ブランドを代表するハイエンドモデルのPRISMが圧倒的に人気であり、オールラウンドに使えるボードがほしいならこれがおすすめ。
カービング主体のフリーライドモデルがほしいユーザーはINGEMAR BACKMAN GOHST CAT。
ロッカーボードに近い乗り心地のオールラウンドボードならツインキャンバーのNIRVANA。
同じくツインキャンバーがよくてジブ、パーク主体のプレーヤーはATLANTIS。
キャンバー形状でジブ、パーク主体ならDAMAGE。
ビギナー向けはGRIND。

それぞれのスタイルに合わせて選べばよいだろう。

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