神奈川で住宅購入5. 注文住宅での住宅ローン借り入れ方法

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注文住宅を建てる上で、多くの人は銀行から住宅ローンを借りることになるだろう。筆者も住宅ローンを借りたが、この手続きが銀行ごとにかなり異なっており、非常にわかりづらい!

戸建て住宅やマンションを購入する場合は、それほど苦労せずに借り入れられるのだが、土地を購入してからその土地に注文住宅を建てる場合は、この住宅ローンの借り入れが意外と高いハードルとなる。

実際、不動産営業やハウスメーカーのベテラン営業も「なんでこんなに知らないの!?」と思うほど、細かい手続きに関して分かっていなかった。今回は、筆者の経験を基に、借入手続きの方法や注意点を紹介する。

1.注文住宅における住宅ローンの基本

注文住宅では、多くの人は土地を購入してからその土地に建物を建てることになる。

まず、基本として知っておくべきなのは、注文住宅の住宅ローン審査では、

土地代+建物代の合計借入額を借りられるかどうか」

という審査が必要になる。

土地代の審査は通ったものの、建物代の審査が通らず建物を建てられないとなったら困るため、両方合わせた額で審査するわけである。

そして重要なのが時期。この、土地代+建物代の合計額でのローン審査を、土地決済に間に合うように通しておく必要がある。

ただし、注文住宅の場合、通常、土地決済時にはまだ建物の金額は決まっていない。そのため、建物金額は多少多めに見積もった計画書(資金計画書)を建築会社に作成してもらい、それを使用して多少多め額のローン審査を行う。借入金額を、後から増やすのは大変だが(再審査が必要になる)、減らすのは簡単であるため、建物金額が決まった後にそれに合わせて借入金額を減らす手続きを行う。

2.基本的な手続き方法

では、注文住宅の住宅ローンの具体的に手続き方法に関して見ていこう。

基本的な流れとしては以下のようになる。

  1. 事前審査(仮)
  2. 土地申し込み
  3. 事前審査
  4. 土地契約
  5. 建築請負契約
  6. 住宅ローン審査用資金計画書入手
  7. 正式審査
  8. つなぎ融資審査(必要な場合)
  9. つなぎ融資申し込み or 分割融資申し込み
  10. 土地決済
  11. 建物仕様、建物金額決定
  12. つなぎ融資申し込み or 分割融資申し込み
  13. 着工時金決済
  14. つなぎ融資申し込み or 分割融資申し込み
  15. 上棟時金決済
  16. 本融資申し込み
  17. 最終決済

概ね土地決済までが、日程的に厳しく注意が必要であるため、ここまでのポイントを説明する。

2.1.事前審査(仮)

良い土地が見つかり土地購入の申し込みをする際に、不動産によっては住宅ローンの仮審査結果が必要となる。

申込者に購入金額の支払い能力があるということを示すために求められるもので、基本的に、この審査結果を使用してローンを組まなければいけないわけではない。そのため、どの金融機関の審査結果でも良い。

現在は、ネットでいくつかの項目を入力するとすぐに事前審査結果が出てくるサービスもあるため、それを利用するのがスムーズ。その場合、土地の申し込みと同時に行うことも可能。

ただし、一点だけ注意しなければいけないのは、土地の決済日までに、ここで事前審査結果として記載した銀行以外の住宅ローン審査を通すことができなかった場合、記載した銀行でローンを組まなければいけない点である。

収入に余裕があり、住宅ローン審査の通過に懸念がない場合は特に問題ないが、収入的にギリギリという場合には、あらかじめ、土地と建物合わせて自分が支払える資金上限をきちんと見積もること。そのうえで、その上限金額での事前審査を、良い土地が見つかる前に行っておくことをおすすめする。

ちなみに、ここでの審査結果は、土地の決済に使用するものではあるが、宅地としての販売という前提になるため、審査結果は土地代+建物代トータルで通す。ただし、この時点では、通常、建物代に関しての見積もり書類は全く出ていないので、トータルどれぐらいかかるか、頭金をいくら支払い、借入はどれだけになるかを自身で考えて入力することになる。

2.2.土地申し込み

土地の申し込み時に注意したいのは、決済期限日。

土地契約の際に署名する契約書には決済期限日が記載される。その日までに支払うことができなかった場合、契約が無かったことになるが、土地の売り主およびハウスメーカーに支払っている頭金が返ってこない。つまり、数100万円無くなった上で契約が無かったことになるので、決済期限日までに必ず支払いを行わなければいけない。

住宅ローンの借り入れ手続きには、早い金融機関でも1か月程度はかかる。大型連休を挟んでいる場合や、ネット系金融機関の利用を考えている場合は、1か月半から2か月程度は無ければ手続きが完了しないため、申し込み時に決済期限日をなるべく延ばすように不動産業者に依頼すること。

筆者の場合、間にお盆の期間を挟んでいたものの、申し込みから約2か月の余裕があり、自由に住宅ローンを選ぶことが可能であった。

2.3.事前審査

土地購入の申し込みを行った時点で、大まかな土地の購入代金が決定する。また、土地の広さ、土地の形状が決定するため、建物にかかる代金もざっくりと出すことができる。

土地申し込み後には、これらの情報や、自分が出せる頭金、組むつもりのローン額上限の情報を使って、住宅ローンの事前審査を行う。

銀行によって、審査基準や、審査にかかる期間、融資条件などが異なり、借りたい銀行で必ずしも借りられるわけではないため、事前審査は複数の銀行行っておくこと。

審査だけ行って、やっぱり借入しないという場合でも、特にデメリットはない。

2.4.土地契約

土地の契約は売り主と買い主、お互いの不動産担当者が集まり、重要事項説明と売買契約書への署名を行う。

住宅ローン観点で注意したいのは、決済期限日が間違っていないかどうか。

契約日になって、思っていたよりも決済期限日が早かったということが無いように、不動産担当を通して、事前に期限日に関して確認しておくこと。

2.5.建築請負契約

住宅ローンの正式審査には、建築会社との建築請負契約書が必要となる。そのため、土地の契約の次に、建築会社との契約を行う。

場合によっては、土地契約の時点では建ててもらう建築会社が決まっていないこともあるだろうが、土地の決済期限日を考えて、間に合うように絞り込む作業が必要になる。

通常は、あまり時間的に余裕がない場合が多いため、土地決済の2週間後までを目安に建築会社の絞り込み、建築請負契約を行っておきたい。

2.6.住宅ローン審査用資金計画書入手

建築請負契約書には、請負契約時点での、建物図面や資金計画が掲載される(建築会社によって粒度は異なる)。ただし、この先、建築会社とどんな建物を建てるかを具体化していく中で、金額が上がる可能性がある。

そのため、住宅ローンは、建物金額が上がった場合を想定して、少し多めの額で審査を通すべきである。

建築会社に、多めに見積もった資金計画書を作成してもらい、それを使用して住宅ローンの正式審査を行う。

どれだけ多くするかは人によって異なるが、特に、金額が大きく上がりやすいのは、床材とキッチン。これらを良いものにすると、簡単に100万円以上価格が上がるため注意。

個人的には、500万円~1000万円くらいは見積もり書の金額を上げておくと安心だと思う。

2.7.正式審査

資金計画書を入手したら、正式審査を行う。審査には概ね2週間程度必要となる。

必要な書類は銀行によって多少異なるが、住民票や印鑑証明書が必要になる場合があるので、時間のある時に市役所へ行っておくと良い。

正式審査を行っても、最終的な申し込みを行わなければローン契約とはならない。そのため、正式審査も、時間の許す限り多くの銀行で行っておくことをおすすめする。

2.8.つなぎ融資審査

ネット系銀行を使用する場合には、正式審査の後(もしくは同時)に、つなぎ融資を申し込むことになる。

つなぎ融資の審査にも2週間近くかかる場合が多いため、決済期限に注意が必要である。

※つなぎ融資に関しての詳細は3章に記載する。

2.9.つなぎ融資申し込み or 分割融資申し込み

つなぎ融資の審査が通ったら、いよいよ融資の申し込みとなる。これが終われば、土地の決済日に合わせて、対象口座に融資金額が振り込まれることとなる。

都市銀行系など分割融資を受ける場合は、分割融資の申し込み(=本融資の申し込み)となる。

手続きは土地決済日の2週間前までに完了させることとなっている銀行が多いので、こちらも期限に注意する必要がある。

2.10.土地決済

土地の決済では、売り主、買い主、それぞれの不動産業者、司法書士が集まり、書類への署名(登記委任状など)、土地の代金支払いを行う。

売り主の銀行口座への振り込み作業および着金確認が必要になるため、平日に行うことになる。また、一般的には、午前中に金銭のやり取りまで済ませ、その日のうちに司法書士が法務局で登記作業を行うという流れになる。

集合場所は買い主側が不動産業者と相談して決める。都市銀行など、店舗を持っている銀行で分割融資という形で融資を受ける場合は、銀行の会議室を借りて行う場合が多い。

ただし、ネット系の銀行利用でつなぎ融資を受けるという場合は、都市銀行の会議室を使用できないので、別途場所を探す必要がある。高額の振り込み作業が発生するため、買い主側が口座を持つ銀行の店舗が付近に存在したほうが良く、なかなか場所探しは難しい。

ただし、最近はWebから1000万円単位の振り込みが即座にできる銀行もあるため、そうした銀行を利用したほうが着金確認まで早く済む場合もある。

融資額分の支払い方法は融資を受ける銀行によって異なり、買い主口座へ決済日の朝に入金される場合もあれば、売り主側の銀行へ直接入金される場合もある。

いずれにしても、当日の段取りを銀行及び不動産会社と、事前によく確認しておくことが大事である。

3.ネット銀行か都市銀行か

3.1.ネット銀行と都市銀行の主な違い

住宅ローンを受ける際には、ネット系銀行から融資を受けるか、都市銀行から受けるかで、融資手続きや融資条件などが大きく異なる。

基本的な両者の違いは以下の通り。

  ネット系銀行 都市銀行
金利 低金利 高金利
団信 充実 普通
審査 厳しい ゆるい
融資承認までにかかる期間 長い 短い
サポート 多くの銀行は基本的に自分で対応 担当者に相談可能
諸経費 事務手数料として支払い

保証料として支払い

土地決済方法 別途つなぎ融資銀行を利用

分割融資可能

簡単に言うと、

ネット系銀行は金利が安いが審査が厳しく、自分で行う手続きも増える
都市銀行は金利が高いが審査はゆるく、自分で行う手続きは減る

という傾向がある。

手順のところでも記載したが、収入的にネット銀行で問題なく借りられる見込みであっても、基本的に、ネット系銀行と都市銀行両方の審査を行っておくことをおすすめする。

ネット系銀行では、想定以上に審査に時間がかかったり、思わぬ融資条件が付き、実は借入できなかったことに後から気づくということがある。

3.2.諸経費に関して

諸経費に関しても違いがある。

ネット系銀行では、借入金額の2%程度の金額を借入時に事務手数料として支払うことが多い。5000万円の借入の場合、100万円となる。

一方、都市銀行では、事務手数料は数万円だが、別途、保証料というものがかかる。金額は、同様に借入金額の2%程度である場合が多い。これは、債権者の収入が借入途中で悪化した場合に、保証会社に支払いを保証してもらうための手数料。ネット系銀行ではこの保証がない分、審査が厳しくなっている。

借りる側から見たこの二つの大きな違いは、繰り上げ返済時に発生する。都市銀行の保証料は、期間短縮型の繰り上げ返済を行った際、保証期間が短くなるため、その分の保証料が返金される。一方で、ネット系銀行の事務手数料は、あくまで契約にかかる手数料なので、契約時に支払って終わりである。

3.3.つなぎ融資に関して

住宅ローンの審査は建物の取得が前提とされるため、土地+建物トータルの額で審査され、融資額が決定する。

ネット系銀行と都市銀行では、融資額を複数のタイミングに分割できるかどうかが変わってくる。

注文住宅では、代金の支払いタイミングが複数発生する。一般的には、土地の決済時、建物の着工時、建物の上棟時、建物の引き渡し時である(契約時の手付金は省略)。

都市銀行の場合は、融資承認額をこうした複数のタイミングに分割して受け取ることができる。

一方、ネット系銀行の場合は、建物の取得時に全額の融資を受ける形になってくる。しかし、通常は、土地取得や中間金支払いのタイミングでもお金を借りる必要がある。そこで必要になるのがつなぎ融資である。

つなぎ融資は、土地の決済や、建物の中間金を支払うために、住宅ローン融資が実行されるまでの間だけ借りるローンのこと。借りる期間は短いものの、借りた期間に応じた金利がかかってくる。

基本的に、住宅ローンの審査が通っていればつなぎ融資の審査にも通ると思ってよいが、審査に2週間程度かかる場合もある。

借りる側としては、非常に短期間の融資となるため、団信などの保証は付けない場合が多く、単純に金利が低いつなぎ融資先を探したほうが良い。

4.実際の借り入れ経験談

最後に、筆者が注文住宅で住宅ローンを借りた際の経験に関して紹介する。

4.1.借入先

まず、借入候補の銀行をピックアップする。

ネット系銀行では、団信が充実しているSBIネット銀行、大手で人気が上がっているソニー銀行を候補とし、都市銀行では比較的金利が安い横浜銀行、大手の三井住友銀行を選択。

ネット系銀行にするか都市銀行にするかを決めるため、両者の違いを基に、筆者の場合どれだけの差額が出るのかを計算する。金利としては、SBIで0.41%、横浜銀行で0.47%である。

借入金額はざっくり6000万円、借入金額35年、つなぎ融資金利1.8%、その他諸費用もろもろを含めて計算してみたが、少なくとも80万円はネット系銀行のほうが安くなる結果だった。

そして大きな違いは団信。横浜銀行で、SBIでもともとついているものと同じレベルの団信を付けると、金利は0.30%上乗せされて0.77%となる。

ここまで違うと比較しなくても、ネット系銀行のほうが良いと判断できる。

というわけで、第一候補はSBIネット銀行とし、念のためソニー銀行と口座を持っていた三井住友銀行も審査を行っておくこととした。

また、つなぎ融資先は積水ハウスが仲介する日本住宅ローンのものを利用することとした。一般的なつなぎ融資金利が1.8~2.0%だったのに対して、積水ハウスのものでは1.6%と低くなっていた。

4.2.借入手続き

筆者が、土地の契約をしたのは2021/7/18。
土地の決済期限は2021/9/24。

なので、2か月間は余裕があった。

建物の大まかな見積もりを出してもらい、銀行の審査を進めたのは7月の最終週で、審査結果が出たのはお盆明けの2021/8/15付近である。

その後、積水ハウスとつなぎ融資の手続きに関して確認したところ、SBIの審査結果には
手続き期限:2022/2/13
と記載されており、建物の決済日より早い期限日となっていることが判明。これでは建物決済日に融資が実行されるという証明にならないため、つなぎ融資ができないと言われた。

SBIに確認したところ、社内規定上、手続き期限日は審査日から半年先までしか延ばせないとのこと。。。半年では建物が建たないのだが、いったいどういうつもりなのだろう。。。手続き的には、半年を切ったタイミングで延長申請をすれば手続き期限は延ばせるらしい。

仕方がないので、つなぎ融資としてはソニー銀行の審査結果を利用して借りることにした。つなぎ融資としては、どこかの審査が通っていればいれば良く、つなぎ融資を借りた後に実際に借りる銀行が変わっても問題ない模様。また、ソニー銀行の手続き期限は1年間有効であった。

この方法で、つなぎ融資の審査は問題なかった。

まとめ

今回は、注文住宅における住宅ローンの手続きに関してまとめた。

実際に住宅ローンを検討してみると、各銀行ごとに手続き方法や必要書類、融資の条件などが異なっており、非常にわかりづらい。特に、注文住宅の場合、つなぎ融資という別のローンが関係してくるため、建売りよりも複雑になっている。

もう少し分かりやすく統一してほしいものだと思うところである。

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