最近Dolby Atmosという単語を耳にする機会も多くなってきた。 映画関係の技術だということはなんとなくわかるのだが、 実態を知らないので調べてみた。
こういう解説ってすごくながーーく書いてあることが多いのだが、 読む気がしないと思うので、要点だけ簡単にまとめる。
1.Dolby Atmosとは
そもそもDolby AtmosがなんなのかわからないのでDolbyのサイトを見てみると
「音声オブジェクトの導入で迫力のある音を実現」
のようなことが書いてある。 https://www.dolby.com/jp/ja/technologies/dolby-atmos.html
うーん、サラウンドを進化させた技術ということはわかるのだが、 従来のサラウンドとの差分点がわからない。。。 そして、このDolby Atmos、検索をかけても技術的な説明が書いてある日本語サイトはあまりヒットしない。 細かい、ニュアンスの違いを恐れず、易しく説明するとこうだ。
2.Dolby Atmos技術のポイント
Dolby Atmosのポイントは下記の2点になる。
2-1. 音声オブジェクトの導入
従来のサラウンド音声というのは各chに合うようにミキシング処理されて作成される。 例えば、飛行機の音をコンテンツに入れ込もうとした場合、 クリエイターは5.1chサラウンドなら全6chそれぞれの位置に合うように飛行機音の位相差、音量などを考え、ほかの音とミキシングして作成する。
ツールはたくさん開発されているが、これは基本的に各chに対して行わなければいけない。 また、5.1ch用、7.1ch用、9.1ch用など複数用意してあるコンテンツも多い。
このコンテンツを劇場側が再生する際には、自分の劇場の環境に合うような音声処理が必要になる。 劇場によって、広さも違うためスピーカーの位置関係も異なる。 当然、各スピーカーに対して入れなければいけないアンプの出力値も変わる。
また、劇場側が7.1chのサラウンド環境を持っているとすれば、足りない2ch分を補間処理によって実現するための機材が必要になる。
これに対して、Dolby Atmosでは音声オブジェクトという概念が導入された。 これは、飛行機という音源の3次元的位置情報をコンテンツの中に収録しておくというものである。 クリエイターは各chに合わせたミキシング処理という手間がかからない。
これを再生する際には、Dolbyが提供するツールが音声オブジェクト情報からリアルタイムで各劇場の各chに合わせた音を作成し、再生する。 劇場側はわざわざ機材を導入しなくても、Dolbyのツールに環境情報、スピーカー情報を入力すれば自動的に最適化してくれる。
また、この音声オブジェクトというのが従来のサラウンドよりもよりリアルにサラウンド音声を実現できるようになっているそうだ。
2-2. 天井スピーカーの導入
2つ目のポイントは天井スピーカーの導入。 もともとDolbyはかなり前から天井にスピーカーを配置した立体音響を提唱していたが、Dolby Atmosではそれが導入されている。 これによって音響オブジェクトがより生きてくるということだ。 5.1.2chのように表記し、最後の.2が天井部分を表している。
7.1.4chサラウンドの配置イメージ
一般家庭で天井スピーカーを導入するのはかなりハードルが高いと思うが、天井に反射させて実現するという技術も出てきているらしい。
YAMAHAのこのサウンドバーなんかバーチャルサラウンドでAtomosまで実現している。 https://usa.yamaha.com/products/audio_visual/sound_bar/ysp-5600/features.html#product-tabs $1600もするが。。
ちなみにヘッドホン向けのDolby Atmos for headphonesというのも出てきているらしい。 音声オブジェクトの効果が得られるのだと思うが。 Windows10が対応したらしい。 http://wicachi.com/archives/2017_04_10_1065366361.html
3.コンテンツはあるの?
最後にこの技術、すでに対応のコンテンツが出ているのかどうか調べるとBlu-rayで対応しているものがある模様。 もちろん最近出てきたUHDBDでもある。 https://www.dolby.com/jp/ja/experience/dolby-atmos/bluray-and-streaming.html
また、VODだとU-NEXTが対応コンテンツの配信を始めたらしい。 http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1062593.html うーん、でも、対応のプレーヤーがないとだめなんだろうなぁ。 やっぱりいろいろ揃えないとだめかな。
2017/11/13追記
国内VODでNETFLIXも対応開始していることが判明。対応作品はまだ少ないが、今後出てくる最新の人気作品はほぼ対応すると思って良いだろう。業界全体でDloby Atmos、Dolby Vision対応という流れができてきているので、他のVOD事業者も続々と対応してくるだろう。
2019/6/22追記
2019年に入ってDolby Atmos対応コンテンツや再生可能機器が増えてきた。NETFLIXにもかなり対応しているコンテンツが存在する。
機器側は特にSONYが積極的に発売しているという印象を受ける。もともとDolby Atmosや類似技術のDTS Xのようなオブジェクトオーディオ技術は、映画コンテンツ向けのサラウンド音声を対象とした新技術であるため、スピーカー以外にディスプレイ機器も必要となる。SONYの場合はTVとオーディオ機器両方を販売しているため、力を入れるのも納得である。
2019年より販売しているBRAVIAの一部の4KモデルにはDolby Audio Processerが内蔵されている模様。また、NETFLIXのような動画配信アプリもTVにインストールされており、動画配信サービスからのDolby Atmos対応音声をTVが処理できる。その音をDolby Atmos対応のサウンドバーなどとHDMIケーブルで接続すると、サウンドバー側がバーチャルサラウンド音声として再生してくれる。
簡単に言うと、Atmos対応のBRAVIAとAtmos対応のサウンドバーをHDMIケーブルで接続するだけで、Atmosコンテンツを楽しめるというわけである。
Atmos対応のTVは2019年の一部のモデル。A9G、X9500G、X8550G、X8500Gなどが対応の模様。
Atmos対応のサウンドバーは2017年以降のハイエンドモデル。2019年6月時点で最も性能が良いものは2017年発売のHT-ST5000。その次にHT-Z9F、HT-X9000F、HT-X8500Fという順で廉価版となっている。