近年、スキー、スノーボード用のヘルメット装着率は高まっており、ファッション性の高いモデルも多く出ているため、ニットからヘルメットへ変えるという人も多い。海外では日本よりもかなりヘルメット着用が一般的であるため、ニセコなどの外国人が多いゲレンデに行くと着用している人を良く見かける。
筆者も屋内ゲレンデ用にひとつ購入しようかと思うので、ヘルメットブランドに関してまとめようと思う。
1.bern(バーン)
正式にはBern Unlimitedというのだが、大体はbernと呼ばれている。アメリカのマサチューセッツに拠点をおくヘルメットブランドである。スキー、スノーボード用以外に自転車用、スケート用のヘルメットも販売している。また、基本的にはヘルメットが有名だが、それに合わせてウインタースポーツ用のゴーグルもラインナップに存在する。
プロテクト性能はもちろんのこと、シンプルかつスタイリッシュでカジュアルなデザインを追求したブランドとして有名。そのためフリースタイル向けという印象が強い。
おすすめモデル:WATTS(ワッツ)
bernを代表するモデルはWATTSとMACONという2つ。デザインが異なり、一番大きな特徴はWATTSにはツバに当たる部分があり、MACONにはないという点。
WATTS
MACON
最近はこのツバ付きヘルメットがフリースタイルモデルでトレンドになりつつあるのだが、WATTSは業界を代表するものともいえる人気のモデルである。
重さは400gで軽量である。JAPAN FITモデルも出ているので、日本人にもおすすめ。
2.GIRO(ジロ)
GIROもヘルメット業界を代表するメーカーである。本部はアメリカのカリフォルニアにある。ただ単にプロテクターとしてのヘルメットをつくるのではなく、”走るためのヘルメット”ということにこだわりを持っているブランドである。
もともとは1985年に自転車用のヘルメットを発売したところから始まっている。スノーボード用のものを出し始めたのは1999年あたりである。軽量で高品質なヘルメットを発売している。
2004年にはゴーグルの販売も始め、Manifestというレンズ交換が可能なモデルを出している。現在ではVividレンズなどの技術も取り込み、ゴーグルラインナップも拡充している。また、ヘルメット内側にはゴーグル上部のベンチレーションを阻害しないように空気が抜けるための通路があるものが多い。
GIROはもともと自転車用のヘルメットから始まったということもあり、比較的アルペンなどのフリーライド向けが得意という印象がある。
現在、GIROの特徴的な技術にMIPSというものがある。これはインナーの最も内側に低摩擦ライナーという層があり、衝撃を受けた際にわずかにアウトとインナー間がスライドすることで力を分散させるというもの。
いざという時の保護性能が向上する特徴的な技術である。また、他メーカーにもMIPSモデルというのが存在することもあるのだが、基本的にGIROの技術を買って使用しているため価格が高い。
おすすめモデル:NINE MIPS
GIROでおすすめはNINE。これは1999年に初めてスノーヘルメットを発表した時から続く代表モデルである。年々改良がくわえられ、長い歴史を持つが他ブランドのハイエンドモデルに劣らない高機能モデルである。
流線的なシルエットは特にアルペンなどのフリーライドプレーヤーから好まれる傾向がある。
シンプルなNINEもおすすめだが、MIPS構造を持ったNINE MIPS存在する。どうせGIROを買うならMIPS付きをぜひおすすめしたい。
重さは450g程度。JAPAN FITもあるモデルである。
3.SMITH(スミス)
SMITHもブランドとしてはかなり有名。アメリカのオレゴンで1965年に誕生したブランドで、Smith Opticsという呼び方もある。
もともとはゴーグル作成から始まったブランドで、ゴーグル製品がかなり有名。SMITHのゴーグルは非常に技術力が高く、曇らないと評判である。
ヘルメットの販売もゴーグルに合わせて行っており、ハイエンドなSMITHのゴーグルに完璧にマッチするヘルメットの設計となっている。特にエアーエバックベンチレーションシステムが高性能で、ゴーグル上部のベンチレーションを阻害しないようになっているため、ヘルメットによってゴーグルが曇るということもない。
まさしくゴーグルとの両立を考えつくしたヘルメットである。特にSMITHのゴーグルを使用しているユーザーはSMITHのヘルメットを選ぶべきだが、それ以外のブランドのゴーグルでもトラブルが起きにくい。
また、SMITHのヘルメットは全体的に軽量のものが多いというのも特徴である。
おすすめモデル:MAZE(メイズ)
SMITHのヘルメットでおすすめはフリースタイルモデルのMAZE。このモデルのどこが良いかというと、その軽さである。アメリカとヨーロッパの強度基準はしっかりクリアしながらも、重量は約350gしかない。世界最軽量である。
キッカーを飛ぶフリースタイルプレイヤーにとってヘルメットの重量というのは意外と気になる点である。特にコーク系たフリップ系といった縦回転を入れるプレーヤーなら、なおさらである。そんな時にMAZEを試してみると本当に驚くような軽さである。
また、ベンチレーション機能もしっかり持っており、ゴーグルとの相性も良い。
BOAダイヤルなどはなく、細かい調節が苦手なのが多少難点だが、それを差し引いてもメリットが大きいモデルである。
4.SWANS(スワンズ)
SWANSもゴーグルブランドとして有名な日本のメーカー。もともとは1911年に眼鏡用のレンズ加工メーカーとして誕生した山本光学がブランドの前身である。1972年にSWANSとしてスポーツシーン用の製品を展開し始めた。100年以上に渡り培ってきた技術は一流のものである。
スキーヤーからかなり人気のブランドで、ヘルメットに関してもスノーボーダーよりスキーヤーが良く使用しているという印象がある。それゆえか、デザインもフリースタイルよりフリーライドやレーシング向けのモデルが代表的。
日本のメーカーなので、JAPAN FIT向けの製品のサイズ感が、日本人の頭部形状にマッチしやすいとの話も聞く。
また、ジュニアモデルが充実しており、価格もそこまで高くないため、子供が被っているのもよく見るブランドである。
おすすめモデル:HSF-130
正直、SWANSでおすすめしたいのはレーシング用のヘルメットなのだが、一般的ではないので、HSF-130をおすすめする。
ゾーンフレックステクノロジーと呼ぶ、内円と外円、分割した2層の発泡ライナーによって、衝撃分散性能が上がっている。背面にはインナー調節用のBOAダイヤルもついており、フィット感も抜群である。
また、バンド部分にはマグネットがついておりピタッと手軽に留めることができる点もおすすめ。
5.ANON(アノン)
ANONはあのBurtonが出しているヘルメットおよびゴーグルブランド。
デザインもシンプルで人気のものが多く、全体的に軽量なものが多いというのが印象的である。フリースタイル向けが充実している。
Burtonが出しているというだけあって、ブランドとしてもかなり人気がある。というのも、オリンピックやワールドカップなどで、いろいろな契約選手に提供しているしているため、ユーザーがメディアを通じて目にする機会が多い。平昌オリンピックの際にハーフパイプで平野歩夢選手が使用していたのもANONのヘルメットである。
おすすめモデル:Rodan
流線的なフォルムでかなり軽量(380g)の人気モデルがRodan。
JAPAN FITのようなモデルは出していないのだが、BOAダイヤルで細かく締め具合を調整することができ、バンド部分もSWANS同様マグナット採用で留めやすい。
また、デザインバリエーションが豊富で好みに合わせて選べるというのも人気の要因のひとつである。
6.Sandbox(サンドボックス)
Sandboxは近年人気を上げているカナダの新興メーカーである。
元々は2004年にプロスノーボーダーの動画製作を目的に設立された会社。その撮影の中で、スタイリッシュなヘルメットを使用したいという目的から、ヘルメット製作に取り組み始めた。ヘルメット製品を販売し始めたのは2007年からである。
Sandboxのヘルメットの特徴は何といってもカジュアルで独特なデザインである。ツバ付きで凹凸の少ないデザインはキャップ型とも呼ばれ、フリースタイルスノーボーダーを中心に近年、コアなファンをつくっている。
おすすめモデル:CLASSIC 2.0
Sandboxと言えばこのCLASSIC 2.0と言ってもいいような代表モデル。ツバ付き形状のキャップ型が特徴的で、デザインが好まれてフリースタイルプレーヤーに人気がある。カラーバリエーションも非常に多く、好みに合わせて選ぶことができる。
ゴーグル用のベンチレーションもついており、アジアンフィットモデルも出ているヘルメットである。
7.まとめ
今回、主要なヘルメットブランドを紹介したが、これ以外にもuvex、ALPINAなどのブランドが存在する。こうしたブランドもヘルメットとしては一流性能を持ち優秀なのだが、スノーボードというよりはスキーヤーに使用されるという印象が強いためここでは紹介していない。
また、ゴーグルとヘルメットの相性を気にするユーザーも多いのだが、実際には、どのブランドのヘルメットとゴーグルを組み合わせても、相性が悪くて使用できないなどということはほとんどない。
というのも、ゴーグルメーカーで圧倒的な人気を持っており、使用率が高いブランドはオークリーなのだが、各ヘルメットメーカーはこのオークリーのゴーグルを無視して設計ができない。結果的に、他のゴーグルブランドもオークリーのフレーム形状に似せて設計しなければ、各ヘルメットとの相性が悪くなるため、やはりオークリーを無視できない。
というわけで、どの組み合わせを買ったとしてもほとんどのケースは問題ないという構図が出来上がっているわけである。
最近では、海外を中心にヘルメットの使用が一般的になっていきている。日本でも、特にビッグキッカーを飛ぶハイレベルなユーザーには着用してほしいところである。