NURO光は下り最大2Gbps、上り最大1Gbpsという高速通信を提供できることが大きなメリットとされている。しかし、実は、この下り最大2Gbpsという速度は、通常、NUROから提供されるONU(宅内終端装置)を交換しなければ、使用できる環境とはならない。
今回、実際にNURO光のONUを交換してみたので、やり方に関して記載しようと思う。
1.NURO光のサービスと問題点
NURO光は高速通信を比較的安価に提供するというのがメリットである。
他の光回線事業者は、いずれも下り最大1Gbpsとなっているところ、NURO光に関しては下り最大2Gbpsという速度を提供している。また、都心部に限っては、上り/下り最大10Gbpsの「NURO光10G」や、上り/下り最大20Gbpsの「NURO光20Gs」というプランも存在している。
提供エリアがまだまだ狭いため、一般的には最大2Gbpsの通常プランに申し込むこととなるだろう。
高速通信という環境を提供しつつ、価格に関しても他事業者より安価である。
導入するには、専用の光回線を引き込む屋内外両方の工事が必要となるため、ハードルは低くはないが、導入できる場合はかなりおすすめの光回線事業者である。
そんな、NURO光であるが、導入できた場合でも、実は、ただNURO光を導入しただけでは最大2Gbpsという速度を有効利用できないという場合が大半。
原因はNURO光から届くONU(宅内終端装置)のスペック。
NURO光に申し込むと、回線工事の際に宅内の終端部分にONUが設置される。これは、NURO側からレンタルという形で借用する機器であり、すべてのNURO利用者の基本料金の中に含まれている。また、NURO光のONUはルーター機能および無線LAN機能を内蔵しているという特徴がある。
実はこのONU、NURO光では複数の種類が存在しているが、どれを設置するかは基本的に選択することができない。
NURO光のONU機種一覧(2022年6月時点)
機種 | 有線LANポート数 |
無線LAN |
無線LAN規格 | 周波数 |
ZXHN F660T | 3 | 450Mbps | IEEE 802.11 a/b/g/n |
2.4GHz 5.0GHz |
HG8045j | 3 | 450Mbps | IEEE 802.11 a/b/g/n |
2.4GHz 5.0GHz |
HG8045D | 3 | 450Mbps | IEEE 802.11 a/b/g/n |
2.4GHz 5.0GHz |
ZXHN F660A (新規提供終了) |
3 | 1300Mbps | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac |
2.4GHz 5.0GHz |
FG4023B | 3 | 1300Mbps | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac |
2.4GHz 5.0GHz |
SGP200W | 3 | 1300Mbps | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac |
2.4GHz 5.0GHz |
NSD-G1000T | 3 | 4800Mbps | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax |
2.4GHz 5.0GHz |
ZXHN F660P | 3 | 4800Mbps | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax |
2.4GHz 5.0GHz |
NURO光の「下り最大2Gbps」という通信速度は、あくまで光回線の通信局から宅内のONUまでの最大速度規格値である。ONUから各機器までという、実際に使用される環境では、ONUのスペックにより、2Gbpsより低い通信速度規格値となる。
上図の通信局からホームゲートウェイまでの通信速度が最大2Gbps
(ホームゲートウェイから各機器は最大2Gbpsではない場合が多い)
NUROが提供しているONUの中で、2Gbps以上の最大規格値速度が出る機種は、下記の2機種のみ。
- NSD-G1000T:有線LAN端子 2.5Gbps(1系統)、無線LAN 4.8Gbps(5GHz帯160MHz幅で接続した場合)
- ZXHN F660P : 無線LAN 4.8Gbps(5GHz帯160MHz幅で接続した場合)
無線LAN通信に関しては、電波環境による影響などにより、実際に出る最大速度は規格値の10分の1程度というのが普通である。そのため、1Gbps以上の速度を実感したいと思う場合は、NSD-G1000Tの2.5Gbps有線LANポートにLANケーブルで接続する必要がある。
我が家で実際にNURO光を納入した際には、SGP200WというONUが設置された。
この機種も残念ながら2Gbpsという速度を出せるようなスペックではない。
※補足
実際は、NURO光が提供するONUには3つの有線LANポートと無線LAN機能が搭載されている。通常は、複数の機器を接続して宅内ネットワークを構成すると思うが、2Gbps出ないというのは、あくまで1つの機器に対して。ONUにつながっている複数機器を同時に通信させた場合、通信局からONUまでの最大速度規格値が2Gbps出るという謳い文句は、特に悪質で間違った記載というわけでもないだろう。
ただし、ONUが複数機器を同時に制御している際に、2Gbpsという最大速度が出せるハイスペックCPUを積んでいるとは思えないが。。。
2.NURO光のONUを交換して通信速度を向上
設置されたONUが低スペックのものだったとしても、NUROに問い合わせたところ、ONUを交換することが可能とのこと。
NURO光が提供している「スマートライフ」というオプション(有料)に加入することで、一番スペックの高いNSD-G1000Tが利用可能である。
スマートライフのオプション内容は3つ。
- NSD-G1000Tが利用可能
- NURO光アプリが利用可能
- SECOM駆けつけサービスが利用可能(5,500円/30分)
NURO光アプリというのは、Qrio Lock(スマートロック)、室内コミュニケーションカメラ、スマート家電リモコンという3つのスマートデバイスを一元制御することが可能なアプリである。が、これらのデバイス自体は別途購入しておく必要があり、そもそも、購入するということは、こんなアプリが無くても個別に操作すること自体は可能である。欲しい人いるのかなぁ。。。
SECOM駆けつけサービスも30分あたり5,500円という価格を考えると、なかなか利用者は少ないように思う。
というわけで、ほぼ、NSD-G1000Tが欲しいという場合に利用されるようなオプションだろう。
料金は、550円/1か月(初月無料)、初期手数料5,500円。
また、届くNSD-G1000Tに関しては、オプションを解約した後も返却の必要がない。
つまり、実質初月で解約すれば、5,500円払ってONUを交換できるということになる。最初に届くONUはランダムという設定にしておきつつ、だいぶ足元を見た商売方法である。。。
とは言え、5,500円払ってでもONUを交換したかったので、今回、スマートライフオプションに加入し、ONUが届いたらすぐに解約するという方法でONUを交換してみた。
3.ONUを実際に交換してみた
ONUの交換のために実際にNURO光のスマートライフオプションに加入してみる。
加入は、スマートライフのページに「お申し込みはこちら」というボタンがあるので、そこから行う。
申し込み時に、古いONUの引き取り日を入力する部分があり、指定した日に宅配業者が集荷にくる仕組み。
申し込みから数日で、目当てのONUが届いた。
中身は、本体、ACアダプター、スタンド、スタンドビス、LANケーブル。
スタンドを本体に取り付ける。縦置き用の穴と、横置き用の穴があるが、今回は縦置き設置にする。
光ケーブルを差し替える。古いONUにささっている光ケーブルを引き抜き、新しく届いたNSD-G1000Tに差し込む。引き抜いてみるとコネクタが結構長い。
あとは、必要に応じてLANケーブルをさし、ACアダプターをさせば使用できる。
無線LANを使用する場合は、ルーター本体に記載されているSSIDとパスワードを入力すれば接続できる。
うちは、ONU本体の無線LANは使用せず、BUFFALOの無線LANルーター2台を使用しメッシュWi-Fiを形成している。この接続構成だと、ONU本体の無線LAN機能はOffしたほうが不要な電波干渉が発生しないため、ONU本体の無線LAN機能をOffする。
メッシュWi-Fiに関してはこちら
BUFFALO無線LANルーターでのメッシュWi-Fi構成方法と効果検証【Wi-Fi EasyMeshを構成してみた】
ONU本体の無線LAN機能をOffする方法は、まず、ONUとLAN接続したPCなどからブラウザを立ち上げ、「192.168.1.1」というアドレスを入力する。すると、ONUの設定ページに入れる。
ログインIDとパスワードを求められるが、通常は、
ログインID:admin
パスワード:(ONU本体に記載のパスワード)
を入力すると入れる。
2.4GHz帯と5GHz帯それぞれのWi-Fi機能をOffに設定すると電波を発信しなくなる。
これで、各機器をLANに接続したら、設定は完了。
4.交換後の通信速度を確認
交換後に、ONUの2.5GbpsポートにPCを接続して通信速度を確認してみる。
3つのLAN端子の内、LAN1というシルバーの端子が2.5Gbps用のもの
インターネット通信速度結果は、864Mbps。
ONU交換前には、500Mbps程度だったため、確実に速くなっている。まあ、実行速度としてこれくらい出れば、何をやるにしても十分だろう。
5.まとめ
今回は、NURO光の2Gbpsという高速通信を活用するための方法に関して記載した。
NURO光を導入しただけだと、他社と比較して通信速度の速さは実感できないため、より高速にしたいという場合には試してみると良いだろう。
ちなみに、今回スマートライフに申し込むことでONUを交換したが、初月に解約した場合、スマートライフ利用料は無料だが、申し込み手数料として5,500円かかってしまう。
ONUを交換する方法として、サービスセンターに問い合わせて、「今のONUでは都合が悪く、NSD-G1000Tに交換しないとNUROが利用できない」ということを訴えかければ交換できる場合がある模様。
この際、「通信速度が遅いから」や「機器の調子が悪いから」などという理由では別の機器に交換してくれない。例えば、「自宅の改築に伴い、サイズ的にNSD-G1000Tしか置けない」や「端子の位置的にNSD-G1000Tしか使用できない」といった物理的な制約で他の機器が利用できないという理由を訴える必要がある模様。
筆者は、面倒なので、5,500円払って交換するという方法を取ったが、困っているというユーザーは試してみるといいだろう。